十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年12月号

特集/新店でめぐる2024年

Chai酒部 ワイン城50周年記念 十勝ワインを味わいにいざワイン城へ出陣!

オトナが楽しむ辛めの部活動!

 11月某日。50周年を迎えた、ワイン城の秘密の部屋「貴賓室」にて、とある宴が行われた。それは安井町長率いる、ワイン城チームと勝毎チームによるChai酒部。十勝ワインと池田素材の料理のペアリングをじっくり楽しみながら、ワインを巡るアレコレを語り合った。

おいしい酒と料理を愛するオトナの部活「Chai酒部」。この日集ったのは、右手ワイン城チームは、手前から池田町ブドウ・ブドウ酒研究所所長の南邦治さん、安井美裕町長、いけだワイン城飲食部門 部門長の小川翠さん。勝毎チームは、手前からChai 編集長の鈴木美希、十勝毎日新聞社 営業局長 原口暁史、池田支局長の澤村真理子(勝毎チームは文章中の役職敬称略)


瓶内二次発酵を日本で初めて手掛けた十勝ワイン自慢のスパークリングで乾杯
 1963(昭和38)年、自治体ワインのパイオニアとして始まった池田町の十勝ワイン。拠点施設として、1974(昭和49)年にオープンしたワイン城も今年50周年。ブドウの収穫を終え、冬仕度も終わりに近づいたワイン城の奥にある「貴賓室」にて、久々にChai酒部が開催された。

 「冬期はマイナス20度を下回る池田の最低気温からブドウを守るため、収穫後剪定を終えて、木を土に埋めます。中央アジアの一部などではやっていますが、日本ではここだけです」と、教えてくれたのは、長年池田町ブドウ・ブドウ酒研究所で、ワイン造りの最前線にいた安井町長。ワイン初心者の勝毎メンバーは興味津々。「普段はサービス担当なので、ワインを注いでもらうのが不思議」という、いけだワイン城飲食部門の若きリーダー小川さんは、シェフの仁科直也さんと今夜のメニューを決めてくれた。

 乾杯は、安井町長が製造にも関わったスパークリングワイン〈ブルーム白〉から。「いい香り〜。おいしい!」と、勝毎チーム鈴木と原口が目を丸くすると、「私の好きな1本です。日本で最初に、シャンパンと同じ瓶内二次発酵で製造した、天然の泡のスパークリングワインなんですよ」と安井町長もにっこり。前菜の自家製ハムとパテ2品は地元の黒豚を使用。うま味ある脂身も「さっぱりといただける」と料理もワインも口元へ運ぶ手が止まらないメンバー。2品目は十勝ワインのフラッグシップワイン〈山幸〉。「草木のような野性味ある香りと酸味が特徴です」と安井町長。「お行儀など気にせず、チーズをかみながら、飲んでみるといいですよ」と、南所長や町長が味わい方を教えてくれた。「チーズと赤が合うということを実感できますね」と、澤村は感心しきり。原口は「とにかくうまい!」を連呼。すっかりゴキゲンモードに。


 3品目の〈セイオロサム白〉は、優しい味わいのワイン。「香りは華やかですが、きりっと辛口で、すしなど和食にも合います」と小川さん。今夜のための新作料理、ライムを利かせた池田産ドナルドサーモンのコンフィが、エレガントな香りとベストマッチ!

 4品目は50周年記念ワイン〈TOKACHI ORIGINAL〉と十勝産のジビエ・鹿肉のロースト。「池田町独自品種の清見と山幸を同率でブレンドしたものですが、赤身のうま味を引き立てます」と南所長。辛口でほんのりスパイシーな山ブドウ系の赤とエゾシカの野性的な組み合わせは相性抜群。勝毎メンバーの感受性を揺さぶる一皿だった。


 締めくくりは超甘口の〈山幸アイスワイン〉とデザート。「こ、これは合う!」と、スイーツ大好きな鈴木が酔いから覚醒。「絶対に買います」と澤村も前のめりに。「ブドウ畑の一角を、毎年12月、気温がマイナス12、13度を下回るまで残して収穫する、味を凝縮させたブドウだけで作るワインです。初年度は収穫前日に鳥に全部奪われまして」と笑う安井町長。「夜明け前、ヘッドライトの明かりを頼りに、極寒の中収穫するんですよ。今年一緒にどうです?」と所長の南さんがニヤリ。ところが「ぜひ参加したい!」と原口はノリノリ。「絶対ですよ〜」と、固い約束を交わすのだった。

 果敢にチャレンジを続ける十勝ワイン。山幸から交配で生まれた、待望の山ブドウ系初の白品種・銀河も2022年に国内品種登録され、現在育成中。新しい白ワインで酒部が乾杯する日が待ち遠しい!

<本日のリーダー 池田町長 安井美裕さん>
鹿追町出身。帯広畜産大学 農産化学科卒業後、1988(昭和63)年池田町役場へ。池田町ブドウ・ブドウ酒研究所醸造係を長年勤め、2010年より役場総務課、企画財政課を経験。2014年より再び研究所へ。営業課長、所長を歴任。2020年池田町町長初当選。現2期目。その誠実な人柄に「安井ベイビーズ」という、池田と町長を慕うドリカムファンのチームも存在する

シェフの仁科直也さん「十勝ワインだから可能な、前菜からデザートまで。ワイナリーならではの、ワインのおいしさが際立つフルコースを用意しました」


~シェフお薦めの料理と十勝ワインのペアリングを楽しむフルコース~


ブルーム白 3,300円
阿部農場・十勝黒豚の自家製ハムとパテ・ド・カンパーニュ

華やかな香りと、きれいな酸、しっかりとした泡が特徴。脂身まで甘くおいしい、地元・阿部農場の十勝黒豚の自家製ハムとパテ・ド・カンパーニュに、酸味があるニンジンと紫キャベツのラペ、味が凝縮されたセミドライトマトを添えて。肉料理の脂をリセットし、酸味のある料理によく合う




山幸2022 2,970円
十勝産チーズ盛り合わせ

池田町独自品種・山幸の赤。コクがあり、ワイルドで個性的な味わいと樽(たる)香には、濃厚なチーズを。池田町大森の山ワサビを利かせた自家製チーズ〈ケナシパ山ワサビ〉をはじめ、十勝産ブルーチーズ、スモークチーズ、フルーティーなトウガラシとオリーブを添えて。ちなみにケナシパは大森の古名




セイオロサム白2023 2,420円
ドナルドサーモンのコンフィ

アンズのような、果実の香りと酸味がエレガントな白ワイン。この1本に合わせた今夜の新作料理は、池田町千代田の湧き水とこだわりの飼料で育てた、ドナルドサーモン(ニジマス)のコンフィ。さわやかなライムとクスクスを添え、さっぱりとした味わいがワインを引き立てる上品な組み合わせ




TOKACHI ORIGINAL 2,750円
十勝産エゾシカのロースト

ワイン城50周年記念の1本。軽やかな清見を雌鹿、野生的な山幸を雄鹿に見立てたラベルも評判。この池田町独自品種を同比率でブレンドした赤には、土の香りがする地元のキクイモを添えた、野性的な十勝のエゾシカのローストをワインソースで。赤身のうまさが際立つペアリングに




山幸アイスワイン2023 5,280円(12月5日発売)
デザート3種盛り合わせ

食事に合う辛口にこだわる十勝ワインの中では異色の、とろりと甘いデザートワイン。毎年即売り切れる数量限定の人気商品だ。この日はスイーツも得意とするシェフこん身の3品。十勝ブランデーのテリーヌショコラ、カヌレ、ワインでマリネした山幸のレーズンが、ワインの甘さと溶け合う

飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や授乳中の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります。お酒は楽しく、ほどほどに!

<いけだワイン城>
池田町清見83-4 
Tel:015・578・7850 
営:9時~17時 
休:年末年始

※フリーマガジン「Chai」2024年12月号より。
※撮影/辻博希。写真の無断転用は禁じます。