隠れた名著、教えます～ＢＯＯＫ（４５）「チーム・オベリベリ」

　読書は私の人生に欠かせませんが、書店という空間はもっと好きです。棚に並んだ表紙を眺めるだけで世の中の流れを感じ、過去へ戻ることもできるからです。

　今回は、約１４０年前にタイムスリップできる一冊をご紹介します。舞台は十勝の原野で、依田勉三らが壮絶な開拓に向けて身を投じたリアルフィクション。勉三と同じ「晩成社」のメンバー、渡辺勝の妻・カネが主人公の作品です。

　文明開化で時代の最先端で育ったカネが、結婚を機に未開拓の地へと渡り、次々と襲ってくる苦難に耐える姿が印象的です。また、「晩成社」の成り立ちやメンバーとの共同生活も描かれているので、読めば学生時代に授業で学んだ勉三のイメージが変わるかも知れませんね！

＜チーム・オベリベリ＞
乃南アサ
講談社文庫
９０２円

◆教えてくれた人　
喜久屋書店　帯広店　野田麻美さん
夢だった書店勤務をかなえ、充実した毎日を送る。休日は趣味である読書とガーデニングを楽しむ。書店員歴は今年で１４年目、教育書などの人文コーナーを担当。

＜喜久屋書店　帯広店＞
帯広市西４条南１２丁目３
Ｔｅｌ：０１５５・６６・７７９９

◆隠れた名著、教えます～ＢＯＯＫ
十勝管内の書店に教えてもらった名著を紹介するＣｈａｉの連載です。

※フリーマガジン「Ｃｈａｉ」２０２３年７月号より。