2024年4月号

特集/ときめきのプリン&愛しのシュークリーム

帯広市開拓140周年記念事業 晩成社展

帯広市開拓140年・市制施行90年記念【帯広百年記念館 特別企画展】
豊富な史料で十勝の開拓を振り返る「晩成社展」が開催中

 「十勝開拓の先駆者」といわれる依田勉三と晩成社に関する史料が展示されている「晩成社展」が、帯広百年記念館で開かれています。その見どころについて、同館館長の山原敏朗さんに伺いました。

お話をうかがった帯広百年記念館館長 山原敏朗さん
山口県出身。大学時代に考古学を専攻し1994(平成6)年、同館の学芸員として帯広へ。2018(平成30)年、同館の館長に就任。


史料を通じ、熱意にあふれる勉三の生きざまや晩成社の斬新な試みに触れられる晩成社展


十勝開拓の歴史にちなんだ多数の史料を展示
 帯広市開拓140年・市制施行90年を記念し、8月13日から特別企画展「晩成社展」が開催される運びとなりました。現代に伝わる史料へ最新の研究を踏まえた解説を加え、地元の皆さまへ十勝開拓の歩みを振り返る機会を提供できればと考えています。帯広百年記念館の所蔵品を中心に、静岡県・松崎町にある依田勉三の生家「旧依田邸」から借用した貴重な史料も併せて紹介。帯広開拓の先駆者として知られる依田勉三や帯広の開拓団体である晩成社についてこれほど多くの歴史資料を集めた試みは、おそらく十勝初でしょう。〞新たな学び〞を見つけていただければうれしいですね。

豊富な地図や写真で依田勉三の歩みを追う
 展示は依田勉三の生い立ちから始まり、入植、事業の展開と終焉(しゅうえん)にいたるまで、古い写真や地図を活用して年代順に追っていきます。中には六花亭の銘菓・マルセイバターサンドの原案にもなった「マルセイバタ」缶詰のパッケージなど、目を引く展示も。また依田勉三直筆の「備忘」に残る筆跡からは几帳面な一面が見られ、勉三の豪快なイメージとのギャップに驚かされると思います。

晩成社の成の字を○で囲みトレードマークにしていた「マルセイバタ」

帯広の地を開拓地と決めて出願した書類の控えなどを展示

毎日の出来事を丹念に書いている依田勉三直筆の日記「備忘」


故郷の成り立ちを改めて学ぶ機会に
 十勝で生まれ育った人にとって、依田勉三や晩成社はなじみ深い存在ですが、その人生や事業について詳しく記憶している方は少ないと思います。関連事業として開拓の歴史についての博物館講座(事前申し込みが必要。詳細は電話で)なども予定しておりますので、ぜひ足を運んでください。


【関連イベントスケジュール】※子ども向けイベントも実施します。
「晩成社の『何故』を解き明かす」
晩成社が十勝を選んだ理由や、困難を抱えながらも事業を進めた理由について考えます。
日時:9月10日(土) 14:00~16:00
会場:帯広百年記念館2号室
主催:帯広市教育委員会 帯広百年記念館  共催:帯広百年記念館 友の会

<帯広百年記念館>
〒080-0846 帯広市緑ヶ丘2番地
Tel:0155・24・5352
Fax:0155・24・5357
開館時間:9:00~17:00(最終入場16:30)
休館日:9月5日・12日
http://museum-obihiro.jp/occm/

※フリーマガジン「Chai」2022年9月号より。
※写真の無断転用は禁じます。