十勝毎日新聞電子版
Chaiでじ

2024年11月号

特集/レトロかわいい十勝

ときめく☆文房具(2)「この春は、万年筆デビュー」

 憧れの文房具の一つ、万年筆。手を出したいけれど、管理が難しそう・・・と感じている初心者に向けて、選び方やお手入れ方法などを紹介。この春は万年筆デビューしてみましょ♪

<万年筆の選び方>
 初めての1本を探すなら、使うシーンや目的をイメージしながら、3つのポイントを押さえよう。

Point1【インクの吸入方式】
 インクを吸入する方法は大きく分けて3つ。それぞれの長所や短所を知ろう。

★吸入式  
 ペン内部にインクタンクがあり、ボトルからインクを吸い上げて使う。手間がかかるが愛着はひとしお。インクのコストが低く、たくさん書く人にお薦め。

★カートリッジ式
 インクのパック「カートリッジ」をペン内部に差し込んで使う。インクの交換が簡単なので初心者向け。携帯用としても便利。

★コンバーター(両用)式
 取り外しできるインク吸入器「コンバーター」を取り付け、吸入式と同じ方法でインクを入れる。カートリッジ式に比べて豊富な色の種類を楽しめる。カートリッジも使用可。

Point2【ペン先の素材】
 紙に触れるペン先は、書き心地を決める要(かなめ)!

★金ペン
 金を含むペン先。腐食しにくく素材が軟らかいため、使う人の書き癖が付くのも魅力。軟らかな書き心地で、文字のはねやはらいなどの変化をつけやすい。

★鉄ペン
 金に比べて固い鉄は、書き心地も硬いが、筆圧の調整に慣れていない初心者向き。金ペンよりも安価。

右から金ペン、鉄ペン。金は「14K」など含有量が記されている


Point3【ペン先の太さ】
 極細字から極太字まで細く分かれる。素早く文字を書く人はインクが出る量を考えて「太字」を選ぶなど、筆圧や書くスピード、書きたい文字のイメージに合わせよう。

ペン先の太さは15種類ほど。左から細字、中字、太字




<万年筆のお手入れ>
 万年筆の中でも人気が高いコンバーター式。インクの入れ方や抜き方をマスターしよう。

★インクの入れ方
(1)コンバーターを装着する

 キャップを取り、ペン先とつながる首軸部分を取り外してコンバーターを装着する

これがインク吸入器のコンバーター


(2)インクを吸い上げる
 ペン先をインクに浸し、コンバーターの上部をゆっくり時計回りに回し、インクを吸い上げる


(3)ペン先を上げる
 インクを十分に吸い上げたら、ペン先から余分に出てくるインクを瓶の縁を使って落とす


(4)インクを拭き取る
 ペン先のインクをティッシュペーパーや柔らかい布などで拭き取る


(5)終了!
 コンバーターを外して主軸を万年筆の胴体に戻す

想像以上に簡単!



色のバリエーションも豊富
 店頭には「雪明(ゆきあかり)」「夜桜」など風情ある名前が付いたインクも



★インクの抜き方
 インクの色を変えるときは、インクを一度抜こう。インクを複数混ぜるのはNG! しばらく使わないときも同様に。

(1)水に浸ける
 コンバーターを外し、ペン先と首軸を水ですすぎ、水が入ったコップに一晩入れておく


(2)水を出し入れする
 コンバーターを取り付け、インクが出切るまでコンバーターを回して水を出し入れする


(3)乾かす
 布やティッシュペーパーで水分を拭き取り、乾かす



【万年筆のススメ】
 荒谷さん自身も万年筆を愛用する一人。成人記念で贈られたコンバーター式の万年筆を含め、2本を大切に使っている。日ごろは日記や手紙などを書くときに手に取り、「使い込むほどなじむ感覚は、ボールペンなど他の筆記具では感じることができません。書く楽しさを味わってください」とお薦めしていました。


<教えてくれた人>
受川 仕入販売員 荒谷春妃(はるひ)さん
文房具や画材を扱う老舗店
帯広市大通南9丁目19 TEL0155・23・4171


※フリーマガジン「Chai」2021年3月号より。
※写真/辻 博希。写真の無断転用は禁じます。