ときめく☆文房具(2)「この春は、万年筆デビュー」
<万年筆の選び方>
初めての1本を探すなら、使うシーンや目的をイメージしながら、3つのポイントを押さえよう。
Point1【インクの吸入方式】
インクを吸入する方法は大きく分けて3つ。それぞれの長所や短所を知ろう。
★吸入式
ペン内部にインクタンクがあり、ボトルからインクを吸い上げて使う。手間がかかるが愛着はひとしお。インクのコストが低く、たくさん書く人にお薦め。
★カートリッジ式
インクのパック「カートリッジ」をペン内部に差し込んで使う。インクの交換が簡単なので初心者向け。携帯用としても便利。
★コンバーター(両用)式
取り外しできるインク吸入器「コンバーター」を取り付け、吸入式と同じ方法でインクを入れる。カートリッジ式に比べて豊富な色の種類を楽しめる。カートリッジも使用可。
Point2【ペン先の素材】
紙に触れるペン先は、書き心地を決める要(かなめ)!
★金ペン
金を含むペン先。腐食しにくく素材が軟らかいため、使う人の書き癖が付くのも魅力。軟らかな書き心地で、文字のはねやはらいなどの変化をつけやすい。
★鉄ペン
金に比べて固い鉄は、書き心地も硬いが、筆圧の調整に慣れていない初心者向き。金ペンよりも安価。
Point3【ペン先の太さ】
極細字から極太字まで細く分かれる。素早く文字を書く人はインクが出る量を考えて「太字」を選ぶなど、筆圧や書くスピード、書きたい文字のイメージに合わせよう。
<万年筆のお手入れ>
万年筆の中でも人気が高いコンバーター式。インクの入れ方や抜き方をマスターしよう。
★インクの入れ方
(1)コンバーターを装着する
キャップを取り、ペン先とつながる首軸部分を取り外してコンバーターを装着する
(2)インクを吸い上げる
ペン先をインクに浸し、コンバーターの上部をゆっくり時計回りに回し、インクを吸い上げる
(3)ペン先を上げる
インクを十分に吸い上げたら、ペン先から余分に出てくるインクを瓶の縁を使って落とす
(4)インクを拭き取る
ペン先のインクをティッシュペーパーや柔らかい布などで拭き取る
(5)終了!
コンバーターを外して主軸を万年筆の胴体に戻す
色のバリエーションも豊富
店頭には「雪明(ゆきあかり)」「夜桜」など風情ある名前が付いたインクも
★インクの抜き方
インクの色を変えるときは、インクを一度抜こう。インクを複数混ぜるのはNG! しばらく使わないときも同様に。
(1)水に浸ける
コンバーターを外し、ペン先と首軸を水ですすぎ、水が入ったコップに一晩入れておく
(2)水を出し入れする
コンバーターを取り付け、インクが出切るまでコンバーターを回して水を出し入れする
(3)乾かす
布やティッシュペーパーで水分を拭き取り、乾かす
【万年筆のススメ】
荒谷さん自身も万年筆を愛用する一人。成人記念で贈られたコンバーター式の万年筆を含め、2本を大切に使っている。日ごろは日記や手紙などを書くときに手に取り、「使い込むほどなじむ感覚は、ボールペンなど他の筆記具では感じることができません。書く楽しさを味わってください」とお薦めしていました。
<教えてくれた人>
受川 仕入販売員 荒谷春妃(はるひ)さん
文房具や画材を扱う老舗店
帯広市大通南9丁目19 TEL0155・23・4171
※フリーマガジン「Chai」2021年3月号より。
※写真/辻 博希。写真の無断転用は禁じます。