第57次南極地域観測隊(門倉昭隊長)はGPSを使った氷河の地形調査を行っている。GPSにより位置や標高の情報を得て、氷河の海への流出規模や氷河下の海岸部の特定を目指している。
白瀬氷河に降りてGPS機材を回収する自衛隊員 4日は白瀬氷河で昨年1月末に設置したGPS装置の回収を行った。日本の観測隊が1年を通じてGPSを使用した氷河調査したのは初めて。南極観測船「しらせ」の搭載ヘリコプターで氷河上に着陸し、GPS装置を釣り上げ基地まで運んだ。
白瀬氷河は昭和基地のあるリュツォ・ホルム湾の最奥部に位置している。基地から約100キロの距離にある幅約10キロ、上流から下流まで50キロある同湾最大の氷河。南極の中でも最も移動が速い氷河の一つで、1年で約2キロ動いていることがこれまでの調査で分かった。
人工衛星で同様の測定ができるが、実際に現地にGPSを設置することで、より精度の高いデータを得られる。回収に当たった早河秀章隊員は「南極氷床全体からどれだけ氷が失われているか見積もる基礎データにもなる」と話している。