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【再現ドラマ】ワンちゃん脱走!南商生の連携プレーがピンチを救う

ワンちゃん逃走!南商生の連携プレーがピンチを救う~ほっこり再現ドラマ

星野 広翔

十勝毎日新聞社 編集局 デジタルセンター


 『(帯広)南商業高校の生徒さんに助けられました』―。

 勝毎電子版の「投稿ポスト」に9月16日、こんな書き出しの一通のメールが寄せられた。送り主は帯広市の大和田慶子さん(82)。散歩中に自身の不注意から逃げ出してしまった飼い犬を、下校途中の同校生徒が次々と協力して無事保護してくれたことへの感謝をつづっていた。そこで、大和田さんや関わった高校生に取材し、〝大捕物〟が行われた実際の現場で当時の様子などを語ってもらった。(星野広翔)

◆南商生の〝華麗な連携プレー〟
 飼い犬の〝逃走〟が発生したのは9月13日午後5時すぎ。場所は市内西18南5の春駒通沿いの歩道。大和田さんが娘の愛犬であるヨークシャテリアのオス「リプくん」(3歳)とシュナウザーのメス「ラナちゃん」(4歳)を連れ、いつものように家の周辺を散歩させていた。

逃げ出してしまった、ヨークシャテリアの「リプ」


 道ばたでラナちゃんの排せつ処理をしていた時、誤ってリプくんのリードを放した。その瞬間、小犬は一目散に逃げ出したという。大和田さんは懸命に追いかけたがまったく追いつかず、どんどん姿が遠くなっていった。

 思わず「誰かひもを踏んでください!」と大声で叫んだ大和田さん。するとたまたま自転車で下校途中だった、帯南商2年の東俊作さん、谷口竜聖さん、富樫花音さんと、同3年の小原瑚子さん、川﨑色葉さんの5人がその声に気付いた。

 谷口さんらは、近くにいた1年生たちが捕まえられない様子を見て、自転車で先回り。降りて正面で捕まえようと試みた。だが小犬は体長30センチほどで動きが素早く、あっという間に足元を抜かれてしまった。

自転車を投げ出し、走ってくるリプを待ち構える谷口さん。当時をわかりやすく再現した


 それでも東さんと川﨑さんが諦めず猛追。小原さんと富樫さんは、動揺する大和田さんのそばにとどまり「絶対捕まりますよ」と優しく励まし続けた。

 逃走から約10分後、東くんと川﨑さんが小犬を大事そうに抱えて大和田さんの前に到着。保護犬で普段はおとなしく臆病な性格のリプくん。〝自由〟に走って確保された先は自宅玄関前だったというオチもついたが、大和田さんは「せっかく保護犬を助けたのに、不注意から事故に遭ったらどうしようと思った。(かみつくなど)誰も傷つけることなく、本当に安心した」とほっとしていた。

再現ドラマ撮影のため再会した6人。右から東さん、川﨑さん、谷口さん、大和田さん、富樫さん、小原さん


 逃走の一件以来、大和田さんと生徒5人が初めて顔を合わせた同20日。大和田さんは生徒たちの顔を見ると満面の笑みで「ありがとう、ありがとう」と何度もお礼を口にしていた。東さんは「南商生として良いことをしたと思います。帯広が助け合いの街になってほしい」と語った。



◆まちの声全文(9月23日掲載)
 「犬の保護に協力 南商高生に感謝」
 13日午後5時20分ごろ、帯広南商業高校の生徒さんに助けられました。

 2匹の犬の散歩をしていたところ、1匹のリードを不注意にも放してしまいました。犬は走り出し、高齢のわが身では追い掛けても追い付きません。車にひかれる可能性もあったので、「リードを踏んで止めてほしい」と大声でお願いしました。

 すると、まず2人の高校生が自転車を置き、走って追い掛け、間に合わないと分かると前方の生徒に頼み、その生徒も自転車を置いて追い掛けてくれました。

 なかなか捕まらない犬に対し、リレーのように次々と生徒が加わり、最終的には10人ほどの皆さんの協力で無事保護できました。保護するまでの間も、混乱している私にずっと数人の生徒さんが寄り添ってくれていました。

 犬とはいえ家族です。逃げた犬を確保し抱いてこちらに歩いてくる高校生を見た時には、安心と感謝が入り交じり感慨深い気持ちになりました。

 不注意で起こしてしまったことに対し、たくさんの人の協力で助けていただき、ありがたい限りです。(帯広市、女性)

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