塩原 真(しおはら・まこと)

1982年12月28日、帯広市生まれ。帯広豊成小、帯広南町中、帯広緑陽高、帯広畜産大学畜産学部卒、畜産学研究科修士課程を修了。2007年に十勝毎日新聞社に入社。編集局画像部でカメラマンを務めている。11年に第28回北海道報道写真展で最高賞となる協会賞を受賞した。妻・勢津子(せつこ)さん(35)と長男・直(ただし)君(2)とともに帯広市在住。趣味は登山や家庭菜園、キノコ狩りなど。

南極地域観測隊(JARE)に応募したのはなぜか

 学生のころ、帯広市内で開かれた「日本蘚苔類学会」に手伝いとして参加し、JAREの第45次隊長に出会った。偶然にも帯広畜産大のOBで、大学時代に所属していた自然探査会の先輩。活動の様子を聞くうちに、未知の世界に好奇心を抱くようになった。中学のときは「自然観察部」、大学時代からは「帯広勤労者山岳会」にも入って道内の登山を楽しんでいる。探検的な活動が好きで、多くの探検家が目指していた南極にあこがれを抱いていた。そこに舞い込んできたチャンスだった。

これまでに南極にまつわる仕事をしたことは

 2013年、南極観測用砕氷艦「しらせ」が、十勝管内広尾町の十勝港に寄港した。泊まりこみで取材・撮影し、新聞紙面で写真特集も展開した。改めて、南極にひかれる自分の気持ちに気が付いた。

南極ではどんな役割を担うか

 2015年12月から翌3月まで滞在する「夏隊」として参加する。滞在する昭和基地では、夏隊と冬隊合わせて約60人の観測隊が、それぞれのミッションを抱えて衣食住をともにする。研究者や調理人など、職種もさまざまで、観測隊が活動する様子を報道していく。参加する第57次隊は、南極域から地球温暖化を探ることが重点研究。農業が基盤の十勝でも、気候変動は関心が高い。使命感を持って報道したい。

楽しみにしていることは

 南極の地に立ち、景色を見ることができる貴重な経験。まずは自分の目で見て、感動したい。基地では、新年や誕生会など季節折々のイベントも多いと聞いている。日本の文化を改めて認識するよい機会ととらえている。

家族への思いは

 南極行きを応援してくれる妻には感謝している。子供の成長を追えないのは残念。

経験を人生でどう活かしたいか

 今のところ、明確な答えは持っていない。ただ、十勝や日本から離れて気が付く世界観があると思う。まずは肩肘張らず、多くの人に南極の様子を伝えていきたい。

動画

日本に妻子を残し憧れの南極圏で長期取材敢行

 結婚4年目。妻・勢津子(せつこ)さん(35)と長男・直(ただし)君(2)を日本に残し、4カ月間、南極で取材にあたる。学生時代から憧れていたという南極への思いを聞いた。

ダンボール5箱分の荷物

 南極圏に持ち込める一人あたりの荷物の量は、たて40センチ、よこ55センチ、高さ28センチのダンボール箱で5箱分までと決まっている。重量制限はないが5箱全部で50キロ程度になる。北海道から東京都内の晴海ふ頭に空輸し、そこで南極観測船に積み込まれる。荷物の中身は、カメラなどの撮影機材、防寒着、防寒長靴、衣類、一週間分の下着、懐中電灯、ヘルメット、支給されるウイスキーを入れる空き瓶などとなっている。緩衝材は環境破壊につながるため使えないので衣類を代用する。

南極圏での服装は

 昭和基地周辺は時期的にも寒さは厳しくないが、南極大陸の内陸部へ近付くほど気温はぐっと低くなる。南極圏に向かう前に、本番さながら防寒着を着込んでもらった。

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