山仲間

野外観測支援(FA)隊員の高橋学察さん(まなみ、45、北海道中標津在住)

野外観測支援(FA)隊員の高橋学察さん(まなみ、45、北海道中標津在住)

 出発前に一番驚いたことは、56次で越冬している野外観測支援(FA)隊員が高橋学察さん(まなみ、45、北海道中標津在住)だということだった。私が学生のころ、正月に日高山系ペテガリ山に一緒に登ったことがあったからだ。私が昭和基地に着いた時、初めて声をかけてくれたのも高橋さんだった。

 高橋さんは幼いころから、地平線、水平線、“氷平線”に憧れを抱いていた。2つは簡単に達成できたが、最後の1つは南極に行かなければ体験できない。

 50次隊で初めて応募し、55次、56次と3回目で南極行きを勝ち取った。その時高橋さんは獣医資格を持っており、北海道職員の中標津保健所に勤めていた。これまで南極観測で休職することは前例のないこと。「自己啓発休業」という制度を適応させて行くことができた。

 高橋さんの応募したFAという職種は夏場の野外観測の安全管理や補助、冬場の雪上車ルート工作、ブリザード時のライフロープ設置などの業務を行っている。山岳技術も要求されるが、高校から山を登り始め、海外の未踏峰を登ってきた。北海道民で構成されたK2峰の登山隊に参加した経歴も持っている。南極では滞在期間の約3分の1にあたる183日は昭和基地を離れ活動した。南極はイメージ通りの素晴らしい自然が広がっていたという。「特に極夜前の地球影が見える景色がきれいだった」と思い出を話す。

 越冬時は「南極教室」で北海道の大樹小学校など合わせて1000人ほどの子どもたちに南極を伝えることができた。「聞いてくれた子どもたちの中から宇宙ステーションから中継するところを見てみたい」と夢を話す。

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