タグ南極観測船しらせ
砕氷艦といっても氷山にぶつかってしまっては故障の危険がある。「しらせ」では夜間に氷山を探すために、青白いサーチライトを点灯して航行している時がある。
12日夜、オーロラが出たという放送で、最上部の甲板に上ってみると、ちょうどサーチライトが点灯していた。中央の1灯と左右の2灯を動かしながら、前方を確認し、対象物を見つけると、それを照らしながら進んでいる。近くで撮影するも、光が強くオーロラどころではない。しばらくすると、光に反応してか海鳥が艦橋の辺りに集まり始めた。中にはマストや配線に引っ掛かり落下する鳥もいる。翌日、ほとんどの鳥は飛び立っていたので、死んでいないことは分かったが、「ボトッ」と音を立てて甲板に降ってくる鳥は不気味さたっぷりだった。
鳥が飛びまわる光景をカメラで撮影してみると、軌跡がらせん状に写ったり、魚のように見えたりしている。昔、テレビで「スカイフィッシュ」と紹介されていた生物を思い出した。空を飛ぶ未確認生物の正体を解き明かした気分になり、一人で興奮していた。