南極点(南緯90度地点)と南極点を中心とする南極大陸及び周辺にある小島や棚氷、海域を含む地域を指す。一般的に南緯66度33分以南は南極圏と呼ばれる。1961年6月に発効された南極条約によって南緯60度以南の領有権主張は凍結されており、核実験を含む軍事利用は禁止されている。南極圏に位置する南極大陸は、地球上で5番目に大きく、広さは約1400万平方キロメートル。およそ100万年以上前から降り積もった雪が溶けずに大陸の約98%は平均1.6キロメートルもの分厚い氷床・氷河に覆われている。平均標高は約2000メートルだが、大陸にあるビンソンマシフ山の標高は4892メートルもあり、日本の富士山よりも1000メートル以上も高い。極寒の気象条件や領有権主張が認められていないため永住者はいないが、世界30カ国以上が南極に観測基地を設置しており、夏季に4000人、冬季でも1000人の調査員が現地で研究活動をしている。近年は地球温暖化に伴い、将来的に氷床や氷河の融解による海面上昇などが地球規模で危惧されている。

気候

 地球上で最も寒冷な地域とされている。南極は標高が高く、分厚い氷床・氷河で覆われた南極大陸の存在により、内陸部の気温が下がりやすくなっているため、標高が低く、大陸がない北極よりも寒い。ほぼ全てが氷雪気候であり、年間降水量は砂漠並みの200ミリ以下で寒冷かつ乾燥している。南極大陸では1983年7月に気温マイナス89.2℃が観測され、地球上で記録された最低気温となっている。また、内陸部の年平均気温はマイナス50℃前後で、2010年8月、南極大陸の氷原の地表面温度がマイナス93.2℃に達した記録もある。

生物

 南極にはペンギン、クジラ、シャチ、アザラシ、オットセイなどが生息している。中でもペンギンは南半球にしか生息しておらず、南極に生息するペンギンは、現生で最大種のコウテイペンギンなど4種とされ、総数は3000万羽以上を数える。南極大陸には南極ササラダニ、ハジラミのほか、ナンキョクユスリカと呼ばれる体長2〜6ミリの飛べない昆虫や、体長30〜40センチメートルほどのユキドリなどの鳥類も生息しているほか、ナンキョクコメススキ、ナンキョクミドリナデシコの2種類の種子植物も自生している。犬ぞりが利用されていた時期もあったが、1998年発効の南極条約議定書により、固有種以外の生物は全て連れ帰り、以後は持ち込みを禁止している。

日本と南極の歴史

 日本が南極に足を踏み入れたのは、ノルウェーのアムンセン隊がイギリスのスコット隊と争い南極点に初登破した同時期の1912年。白瀬矗(のぶ)が、南極圏のロス棚氷上に「大和雪原(やまとゆきはら)」と名付けた。国際地球観測年の提唱を受け、56年に南極地域観測隊を派遣。翌年の57年に東オングル島に上陸し、昭和基地を設置した。第1次南極地域観測隊から基地で越冬を開始するも、第2次南極地域観測隊で南極観測船「宗谷(そうや)」が基地に接岸できず、越冬隊員だけ救出され、犬ぞり用のアイヌ犬「タロ」、「ジロ」が置き去りにされ、翌年に生きた状態で発見されたことは有名なエピソードで映画やテレビドラマの題材にもなり、世間に広く知られている。ちなみに日本人が初めて南極点に到達したのは、第1次南極地域観測隊が派遣されてからじつに10年以上が経過した1968年、第9次南極地域観測隊の村山雅美隊長とされている。

南極地域観測隊

 2015年で57回目を数える。これまでにオゾンホールの発見、72万年前の氷採取成功や世界最多のいん石を採取などの成果を上げている。隊員は政府機関の研究員や職員が中心だが、新聞記者などの民間会社員から派遣される場合もある。女性隊員の参加も認められているが妊婦は隊員にはなれない。日本を11月末に出発し、空路でオーストラリアへ向かい、海上自衛隊が保有する南極観測船に乗艦し、約3週間かけて南極圏の東オングル島にある昭和基地に到着する。昭和基地を拠点に様々な観測を行い、翌年2月に前年の越冬隊と入れ替えが行われ、夏隊は前年の越冬隊とともに帰国の途に着く。

南極観測船

 現役の「しらせ(2代目)」は2009年に就航。全長138メートル、満載排水量2万トン、3万馬力の出力を有し、最大で時速19ノット(約時速36キロ)での航行が可能。1956年に第1次南極地域観測隊が使用した「宗谷(そうや)」から「ふじ」、「しらせ(初代)」を経て、「しらせ(2代目)」は4代目の南極観測船にあたる。世界でも有数の性能を持ち、厚さ1.5メートルの氷を割りながら連続航行できる。いったん後退したあと氷に体当たりして乗り上げた船体の重みで割る『ラミング走行』では厚さ10メートルもの氷を割ることができる。2013年9月、広尾十勝港に艦艇広報の一環で入港。一般公開され、6000人を超える見学に訪れた。

トップへ戻る