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デザイナーの登竜門「装苑賞」佳作 池田出身の山根さん

母校で賞状とトロフィーを手に喜びを語る山根さん

 池田町出身の山根紫那(しいな)さん(21)=札幌在住=が、ファッションデザイナーの登竜門といわれるコンテスト「第98回装苑賞」で第3位となる「佳作2位」に入賞した。農業を営む両親と自分自身をテーマに、トラクターのタイヤをモチーフにしたダイナミックな作品で農業とファッションの融合を表現。山根さんは「自分の強みに気付くことができ、今後につながる大切な機会になった」と喜びを語っている。(安藤有紀)

 同賞はコシノジュンコや山本寛斎など数多くの有名デザイナーを輩出した新人デザイナーの登竜門。今回は1次のポートフォリオ審査で32組を選出、2次審査を通過した16組が18日の最終審査に進んだ。最終審査はショー形式で行われ、各自3体ずつのミニコレクションを披露した。

 山根さんは池田高島小、池田中、帯広北高卒。ファッション関連の仕事をしていた母の影響もあり、幼いころから洋服に興味を持ち、北海道文化服装専門学校(札幌)に進学。入学時から装苑賞への挑戦を目標にし、同校のファッション研究科でさらに1年学んで今年3月卒業した。現在はフリーランスで活動している。

最終審査で発表した作品。左から父、自分、母を表現(文化出版局提供)

 作品のテーマは、自分のルーツを示す「YAMANE」。父、母、自分の3体をデザインし、色や形で違いを出しつつ全体のバランスを熟考。四角のパーツを合わせてトラクターのシルエットを表現、自身が得意とするデニムと手刺しゅうで仕上げた。

 素材には、マテック(帯広)の協力を得てカーマットやシートベルトなど車の廃材品を再利用。廃棄前のデニムを入手して解体し、実家の畑の土で染色した。 山根さんは「以前は田舎や農業にコンプレックスがあったが、自分自身と向き合ううちに、農業や自然に触れて育った感性が自分の良さだと気付けた」と話す。

 最終審査では、ステージ上で一部を変形させ、エプロンやオーバーオールの農作業着としてもアピール。実家のトラクターのエンジン音や土を耕す音などを録音して音楽に取り入れ、地元と農業にこだわった。

 審査結果発表時は「悔しくて言葉が出なかった」としながらも、「コンテストを通じて成長できた。デザイナーになるためさらに視野を広げ、経験を積んでいきたい」と語る。最終審査の様子はYouTube「装苑オンライン」で配信、入賞作品は「装苑」(文化出版局発行)9月号に掲載される。

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