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松井500制す、久保1000圧勝、一戸3000日本新 オーバルスケート競技会第1戦

【男子500メートル】35秒24のタイムで1位の松井大和

 2022明治北海道十勝オーバル競技会第1戦(道スケート連盟主催)が3、4の両日、同オーバルで行われた。男子500メートルは松井大和(シリウス-日大、鹿追高出)が35秒24で制し、同1000メートルは久保向希(JOYFIT)が1分9秒74で圧勝した。同3000メートルは一戸誠太郎(ANA)が3分42秒82の日本新で貫禄勝ち。女子は1000メートルを山根佳子(登寿ホールディングス-日体大、帯柏葉高出)が1分18秒21で制し、1500メートルは真野美咲(日体大-山形中央高、中札内中出)が2分2秒93で優勝した。(古川雄介、金野和彦)

「メダル取れる力を」 引退よぎるも気持ちに火
 500メートル最終組、北京五輪代表を争った松井大和と森本拓也(三重県スポーツ協会-日体大、池田高出)の同走に、会場の空気が引き締まった。ダイナミックな加速を見せてトップタイムをマークした松井は、「上出来」と自己評価。「W杯でメダルを取れるだけの力を安定して出せるようになりたい」と、純粋に強さを求めている。

 昨季はW杯で1勝を挙げたが、激戦の五輪選考会は5着に敗れた。五輪の500メートルのレースは自宅のテレビで観戦した。「あれを見て思ったのは、自分が出ていても絶対勝てなかったと。あの時点では実力不足だった」と松井。金メダルの中国の高亭宇、銅の森重航(専大)ともW杯で実績を積み上げていた。真の実力者だけが五輪のメダルに値すると感じた。

 選考会後は引退も頭をよぎったが、3月のW杯最終戦(オランダ・ヘーレンフェイン)などに出場するうち、「やっぱり楽しい。世界の中で日本がこれだけ強いのだから。自分も、もっとやらなきゃ終われない」と気持ちに火がついた。

 久保向希(JOYFIT)、川目拓磨(都市総合開発)とのユニオンチームで、昨季得たスタートやフォーム改善のヒントを形にしていく。「1回ごとに挑戦して、一年一年新しいことにチャレンジする。まだまだ自分はそういう立場。進化していかないと先はない」。潜在能力を秘めた24歳は歩みを止めない。

【男子1000メートル】1分9秒74の滑りに笑顔を見せる久保向希

廃部経てJOYFITに
 新たな所属先「JOYFIT」の文字を胸に、久保向希が1000メートルで快走を見せた。所属していた日本電産サンキョーが廃部となった後、「無職」の期間を経て7月1日付でオカモトホールディングス(帯広)と契約。「多くの人の協力で応援をいただけた。地元企業なのが本当にうれしい」と笑顔を見せた。

 「廃部は五輪に行けなかった自分たちの責任。続けていいのか考える時期もあったが、結果が振るわないまま、やめたくなかった」。所属先探しには、1社1人のスケーター支援を道内に拡散する「スケートスクラム」構想を進める鈴木靖氏(北海道オール・オリンピアンズGM、1984年サラエボ五輪スケート代表)が奔走してくれた。

 練習は松井大和らのチームに加わった。ナショナルチームにいたころから、トレーニングの考え方では指導陣とぶつかることが多かったが、「今は自分の意見を出して、やりたい流れで練習ができている」と充実感がある。

 シーズン初めから1分9秒台は想定以上。ここ数年のトンネルから抜け出すきざしを感じた。「1000メートルは他の距離からも選手が集まる激戦区。その中で戦っていきたい」と、新たな環境を推進剤に世界への挑戦権を得るつもりだ。

【女子1000メートル】1分18秒21のトップタイムをマークした山根佳子

山根「けん引役に」 女子1000 宮坂建設のグループ会社に入社
 ベテラン勢の引退が相次いだ女子短距離で、昨年W杯を経験した27歳の山根佳子は追い掛ける立場から、けん引役に変わった。「自分にはチャンスだが、先輩たちの穴を埋めないと日本のレベルが落ちてしまう」と意識を高めている。

 北京五輪選考会で落選後、4年後への仕切り直しを地元企業が後押しした。4月から帯広の宮坂建設工業のグループ会社、登寿ホールディングスの所属に。社員として採用され、入社式にも参加した。

 練習に集中できる計らいも受けている。ワンピースは緑と黄色の会社のイメージカラーにした。「選手として残り限られた時間を、地元企業に応援していただけるのはありがたいこと」と笑顔を見せる。

 高校時代に指導を受けた帯三条高の後藤陽監督を頼り、初心に戻って高校生たちと練習に取り組む。今大会は1000メートルで好感触を得たが、500メートルは19歳の吉田雪乃(株式会社寿広)に敗れた。「足りない部分を改善するために、挑戦するシーズンにしたい」と力を込めた。

男子3000メートルで3分42秒82の日本記録を樹立し、市文化スポーツ振興財団から報奨金を受け取る一戸誠太郎(左)

一戸 男子3000日本記録樹立 3分42秒82 特別強化指定狙う
 北京五輪代表の一戸誠太郎が、トップ選手が滑る機会が少ない3000メートルで、軽々と日本記録を樹立した。帯広在住の26歳は「4年後はまだ見えないが、1年ずつ目標をこなす。その先に次の五輪があればいい」と語った。

 五輪後の引退も考えたが、3月に長根ファイナル(八戸)を観戦し「何も気にせず見るスケートは、すごく楽しかった」と原点を思い出し、続行を決意した。

 日本スケート連盟が承認する個別ユニオンチームとして小川拓朗(栃木県スポーツ協会-白樺学園高出)、三輪準也(フィットラボ-法大、白樺学園高出)らに大学生も加え、6人で活動している。「練習メニューは大体自分が考える。マネジメントも大変だけど、やりがいがある」と一戸。

 個人としては、現在女子の高木美帆(日体大職-日体大、帯南商高出)しかいない特別強化指定を狙う一戸。「自分のランクを上げることで、チームの価値も高めたい」と、プランを描いている。

【女子1500メートル】2分2秒93で優勝した真野美咲

2分切りたい
女子1500メートル優勝・真野美咲(日体大-山形中央高、中札内中出)の話

 春先に左足を捻挫して大学でのスタートが遅れたが、その間の上半身や体幹強化が生きている。コーナーと直線のつなぎをスムーズになるよう改善して、距離別大会では2分を切りたい。大学4年が五輪シーズンなので突っ走る。

【女子500メートル】40秒03の自己ベストで4位に入った笹渕和花

中学記録更新を
女子500メートル自己ベスト40秒03で4位・笹渕和花(帯七中3年)の話

 39秒台を狙っていたので悔しい。今年の夏は陸上競技をやめ、ローラーを取り入れたスケート練習に専念した。今季から替えた硬めの靴も自分の滑りに合っている。高木美帆さんの日本中学記録(39秒39)更新が目標。

(9月3、4日・4位以下十勝関係分。10位まで)
【男子】
▽500メートル
(1)松井大和(シリウス-日大、鹿追高出)35秒24
(2)山本悠乃(日大-白樺学園高出)35秒51
(3)森本拓也(三重県スポーツ協会-日体大、池田高出)35秒61
(6)辻本一史(三重県スポーツ協会-専大、帯農高出)35秒79
(7)軍司一冴(白樺学園高)36秒06
(8)笹渕遥人(帯農高)36秒14
(9)及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)36秒17
(10)武田京乃(池田高)36秒23
▽1000メートル
(1)久保向希(JOYFIT)1分9秒74
(2)山本悠乃(日大-白樺学園高出)1分10秒94
(3)時安清貴(日大-帯三条高出)1分11秒55
(7)三輪準也(フィットラボ-法大、白樺学園高出)1分11秒94
(8)竹澤直輝(日大-池田高出)1分12秒05
(9)小川拓朗(栃木県スケート連盟-白樺学園高出)1分12秒09
(10)武田京乃(池田高)1分12秒33
▽1500メートル
(1)森野太陽(日体大)1分51秒54
(2)市場翔太(高崎健大)1分51秒91
(3)所岳澄(日体大-池田高出)1分52秒53
(4)久保向希(JOYFIT)1分52秒71
(7)駒野智哉(大東大-白樺学園高出)1分53秒13
(10)竹澤直輝(日大-池田高出)1分53秒938
▽3000メートル
(1)一戸誠太郎(ANA)3分42秒82=日本新、国内最高
(2)小川拓朗(栃木県スケート連盟-白樺学園高出)3分47秒10
(3)笠原光太朗(専大-帯三条高出)3分50秒37
▽5000メートル
(1)森野太陽(日体大)6分44秒90
(2)菊池健太(専大-白樺学園高出)6分52秒51
(3)齊下功聖(白樺学園高)6分53秒43
(6)堀川翼(専大-白樺学園高出)6分58秒90
(7)竹内輝(日体大-池田高出)7分0秒97
(9)林拓磨(白樺学園高)7分1秒53

【女子】
▽500メートル
(1)吉田雪乃(寿広)38秒81
(2)山根佳子(登寿ホールディングス-日体大、帯柏葉高出)39秒19
(3)熊谷萌(山梨学院大)39秒63
(4)笹渕和花(帯七中)40秒03
(5)軍司愛梨(日体大-池田高出)40秒29
(6)小野寺日菜(高崎健大-帯南商高出)40秒40
(7)上鹿渡双葉(JOYFIT栃木-信州大、帯柏葉高出)40秒70
(10)長崎叶和子(富士急-池田高出)40秒94
▽1000メートル
(1)山根佳子(登寿ホールディングス-日体大、帯柏葉高出)1分18秒21
(2)菊池純礼(富士急)1分18秒52
(3)吉田雪乃(寿広)1分19秒03
(4)真野美咲(日体大-山形中央高、中札内中出)1分19秒06
(5)小野寺留衣(高崎健大-帯南商高出)1分19秒81
(6)小島楓(帯三条高)1分20秒04
(7)藤井咲名(日体大-帯農高出)1分20秒08
(8)長崎叶和子(富士急-池田高出)1分20秒73
(9)小野寺日菜(高崎健大-帯南商高出)1分20秒83
(10)水戸咲良(高崎健大-帯三条高出)1分21秒17
▽1500メートル
(1)真野美咲(日体大-山形中央高、中札内中出)2分2秒93
(2)森野こころ(日体大)2分4秒47
(3)矢澤明里(高崎健大)2分4秒97
(5)新田恭子(鹿児島スピードクラブ-日体大、池田高出)2分5秒02
(6)藤井咲名(日体大-帯農高出)2分5秒21
(7)小野寺留衣(高崎健大-帯南商高出)2分5秒76
(8)小島楓(帯三条高)2分6秒76
(9)久保純奈(日体大-帯農高出)2分7秒793
(10)若原楽(日体大-帯三条高出)2分7秒797
▽3000メートル
(1)新田恭子(鹿児島スピードクラブ-日体大、池田高出)4分21秒74
(2)ウイリアムソン・レミ(コカジスケートチーム)4分24秒39
(3)森野こころ(日体大)4分25秒73
(5)若原楽(日体大-帯三条高出)4分26秒48
(8)瀧上つくし(群馬トヨペット-高崎健大、白樺学園高出)4分28秒21
(9)鈴木柊香(早大-帯三条高出)4分30秒59

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