ミナイカシ 活動1年で初の収穫作業
【幕別】農作業を通して、生きづらさを抱える人たちの社会参加を支える合同会社「ミナイカシ」(幕別)は約1年の活動が実を結び、幕別町内の畑で初の収穫作業に臨んだ。昨年植えたニンニクはうまく育たなかったが、今春、再挑戦したジャガイモは小ぶりながらも無事成長。参加者は「自分が育てたものなら、小さくてもうれしい」と喜んだ。
同法人は、児童養護施設出身の子どもや少年院出院の少年少女らの居場所づくりに取り組む「NPO法人スマイルリング」(幕別、堀田豊稔代表)、在住外国人と地域住民の交流を支援する「とかちフレンドシップ」(山田大介代表)、全国の学生と十勝の農家をつなぐ「TASUKI有限責任事業組合」(帯広、山内一成代表)の3団体が共同で運営。昨年7月に計画が動きだし、今年3月に法人化した。
活動に賛同する幕別町の農業石川康弘さん、岡坂正美さんが農機や約2ヘクタールの畑を提供。自然栽培を営む藪田秀行さん(帯広)が農作業を指導し、ジャガイモのほか、大豆やカボチャなども育てている。
初の収穫作業は5日に行われ、町五位にある約40アールの畑に障害のある人や大学生ら約40人が集まった。児童養護施設出身の青年、働きながら活動に参加する20代のベトナム人男性ら、年齢も、育った環境も職業も違う人たちが一緒に汗を流した。
ミナイカシの活動が進路決定のきっかけとなり、来春から大学院に進むという佐藤裕也さん(23)=北海道大学農学部農業経済学科4年=は「なるようになると背中を押された。覚悟を決めなきゃ」と話した。
今月いっぱいまで収穫は続き、今回収穫した肥料・農薬無添加のジャガイモ(有機JAS認証)5種類は1キロ800円で幕別町の「とかちの八百屋おもや」などで販売する予定。収益は各団体の活動費用に充てられる。スマイルリングの野々村千晶理事は「利益が出るか分からないが、年齢や立場に関係なく、皆の個性が生きる場所になった」とこの1年を振り返る。(石川彩乃)