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歯ブラシ集め、リスの橋 十勝歯科医師会のプロジェクト始動

道路の上空に設置されたアニマルパスウェイ(アニマルパスウェイ研究会提供)

 使用済みの歯ブラシを寄付金に換え、森と小動物の命をつなぐ歩道橋「リスの小径(こみち)」を帯広に造ろう-。十勝歯科医師会(小林靖会長、192人)が、歯の健康を守る職業ならではのこんなユニークなプロジェクトを始動させた。歯のためには月々の交換が望ましいとされる歯ブラシだが、橋の設置には少なくても125万本の回収が必要な計算。「1本でも多く集めて自然も守ろう」(小林会長)と、個人や業界団体などに協力を呼び掛けている。

使用済み回収、寄付金に 小・中校も協力

 プロジェクトで活用するのは、大手メーカーのライオン(東京)がCSR(企業の社会的責任)活動として、昨年5月からテラサイクルジャパン合同会社と共同で実施している「ハブラシリサイクルプログラム」。使用済み歯ブラシのプラスチック部分を植木鉢などにリサイクルする取り組み。1本当たり2ポイントをもらえ、1ポイント1円で1000円から寄付金に交換でき、教育・地域支援など対象に寄付することができる。

 帯広畜産大の柳川久副学長によると、帯広市街地のエゾリスは生息数は減っておらず、分かっているだけで年間40、50件の交通事故死が確認されている。過去には大空町などで木製横断橋なども造られたが、現在は老朽化しているという。

アニマルパスウェイを渡るリス(アニマルパスウェイ研究会提供)

 有効な手段の一つとしてワイヤーメッシュなどで造られた、小動物のための歩道橋「アニマルパスウェイ」があり、既に同パスウェイ研究会(本部山梨)が全国で設置を進めている。柳川副学長も研究会の顧問を務めている。

 十勝歯科医師会では昨年秋ごろから、同様の歩道橋を設置できないか理事会などで検討し、同プログラムへの参加登録をした。寄付先を帯広市とし、市教委の後援を得て学校にも参加を呼び掛けた。小林会長が経営する「ウイング歯科クリニック」など歯科34カ所と3小・中学校を協力機関として、4月に回収を本格スタートさせた。

 同歯科医師会によると、国内では年間約4億5000本もの歯ブラシが消費されている。「毛先が広がった状態で使い続けると歯茎を傷つける恐れがあるほか、歯垢除去の効率も低下する。1カ月に1回の交換が目安」(小林会長)という。

ポスターを手にプロジェクトへの協力を呼び掛ける小林会長(左)と行木隼人担当理事

 同歩道橋の設置には、一般に道路をまたいで造る場合、250万円から300万円程度の費用が必要という。同歯科医師会は啓発ポスターを製作、協力歯科医院を増やしていくほか、建設協力を含め多業種の団体に参加を呼び掛けていく。小林会長は「個人も企業も捨てないで回収に協力してほしい。2、3年をめどに実現できれば。設置場所などは専門家などと協議したい」と話している。

 回収先などの問い合わせは同歯科医師会(0155・25・2172)へ。
(佐藤いづみ)


◆アニマルパスウェイについて
アニマルパスウェイに関する情報全般-アニマルパスウェイ研究会公式ホームページ

◆ハブラシ・リサイクルプログラムについて
ハブラシ・リサイクルプログラムに関する情報全般-ライオン公式ホームページ

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  • 歯ブラシ集め「リスの小径」に 十勝歯科医師会がプロジェクト 3

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