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HASTIC理事長・伊藤献一氏基調講演

 <略歴> 1939年生まれ。62年、北海道大学工学部機械工学科卒。81年同大教授、2003年同大名誉教授。08年からNPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)理事長。

道産小型ロケット開発を
 アメリカ・ニューメキシコ州で今年10月、世界初の商業用宇宙港「スペースポート・アメリカ」の滑走路が竣工(しゅんこう)した。ここでは民間会社が商業用の宇宙旅行を計画している。世界はそこまで進んでいる。

 振り返って日本では、これまで国を支えてきた、いわゆる「見える」技術に衰退の兆しが表れている。造船、自動車、新幹線しかり。航空機については下請けに甘んじているのが現状で、ブラジルやカナダにも追いつかない。宇宙開発でも、既に中国の後塵(こうじん)を拝している状況だ。

 アメリカではつい最近、民間会社が有人型宇宙船の打ち上げに成功している。かつてスペースシャトルが関わった分野には既に民間が参入し、国家はさらに新しい技術の確立を進めている。

 宇宙開発で日本が立ち後れた理由に挙げられるのが、大型ロケット指向だ。大型化は高コストを招く。逆に小型化、低コスト化という道もあるはずだが、こちらは選択したがらない傾向がある。

 HASTIC(北海道宇宙科学技術創成センター)は、打ち上げ価格の安い小型ロケットを“メード・イン・北海道”で開発することを目標にしている。これまで大樹町多目的航空公園などで実施してきたCAMUI(カムイ)型ハイブリッドロケットの打ち上げ実験もその1つだ。カムイと、地表100キロの高さまで到達し弾道飛行するサブオービタル機を組み合わせ、小型人工衛星を打ち上げるシステムも構築したい。

 1つの航空技術の開発には、25年から30年かかると言われる。私たちは町多目的航空公園の滑走路を現在の1000メートルから4000メートルに延伸し、垂直打ち上げ場も併設してスペースポート化することを提唱している。現在より多彩な実験が可能になり、宇宙開発に弾みがつくだろう。

 スペースポートの建設場所として、実は大樹-釧路間の海岸線は世界でも最も優れた場所。東南に海が開かれ、打ち上げがしやすいからだ。こうした場所はヨーロッパでもアメリカでも限られる。

 今後、大樹でのスペースポート構想実現に向けて研究会を立ち上げ、本格的に検討を重ねていきたい。興味のある企業などがあれば、ぜひ参加してほしい。

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