牧草地の隆起続く 年1メートル上昇 地滑りで 陸別
【陸別】町上陸別の牧草地で昨年4月に見つかった最大3メートル弱に及ぶ地面の隆起現象。1年が過ぎて高さが1メートル増し、4メートル弱になっていることが21日までに分かった。裏山の地滑りに起因しており、今後も変動する可能性がある。
隆起はビクトリー牧場の畠野健一さん所有の牧草地の端で、陸別川に沿った部分。現在は長さ約80メートル、幅約40メートルにわたって盛り上がり、最大で4メートル弱の高さがある。
北海道地滑り学会会長で北見工大の伊藤陽司准教授は、昨年の調査で、陸別川を挟んだ対岸の山中に複数の亀裂とともに斜面の地滑りを確認。「(地滑りで)もぐり込んだ土砂が地中の岩盤にぶつかり、川の下を通って牧草地で隆起した」としている=図参照。
隆起は昨年4月8日、最大2メートル弱で発見。同20日ごろに3メートル弱、11月には4メートル弱になったという。以後、冬を越して高さに変化はないが、融雪期は土壌に水分が多くなり、地滑りも起こりやすい。伊藤准教授は「昔から繰り返し変動してきた地点。雪解けで土壌が緩み、隆起への変化もありうる」と話す。
隆起部分の広さは牧草地1・2ヘクタールのうち、30アール程度。畠野さんは「邪魔というほどでもないが、(隆起部分を)取ってしまうと圧力のバランスで別のことが起こると聞いた」と静観している。(木村仁根)