「119」誤通報3年で倍増 「間違えました」一声を
十勝管内の119番通報を一括で受理する、とかち広域消防局の消防指令センター(帯広)。年間約2万件の通報を受けて各消防署に指令を出し、迅速な出動へと大きな役割を担っている。通報件数の増加に伴い増えているのが「間違い通報」だ。間違いによる通報時、すぐに電話を切る人も多いが、その場合でも異常がないか追跡の必要があり、同センターは「『間違いでした』の一言を」と呼び掛けている。11月9日は「119番の日」-。
昨年1年間で同センターが受け付けた119番通報の総数は2万233件(前年比3・1%増)。2年連続の増加で、2016年の消防広域化後初めて2万件を突破した。内訳は救急1万4139件(5・0%増)、火災390件(同59・8%増)だった。
間違いによる119番通報も増加傾向にあり、16年が384件、17年が349件、18年が480件。昨年は724件と大幅に増え、平均すると1日に約2件あったことになる。
間違い通報の増加に明確な要因はないものの、原因の一つとして考えられるのが、スマートフォン(スマホ)の普及によるタッチパネルの誤操作や、緊急時に特定の操作でロック画面を解除することなく通報できる緊急通報機能だ。同センターによると、子どもが親のスマホを操作し、119番を押してしまったという事例もあった。また、最近の自動車には緊急通報システムが搭載されているものがあり、誤操作による通報もある。
間違って119番通報をした場合、慌てて通話を切ってしまう人が多いという。その場合、同センターでは折り返しの電話などで異常がないかを確認しており、折り返しに応答がない場合は消防署員を出動させる必要がある。「過去には119番通報した後に(通報者が)意識を失っていた事例もある」という。
また、火災の場合は一般的に、目撃した複数の住民から通報がある。「119番にかけた後、他の人がすでに通報していることを知り、電話を切ってしまう人もいる」といい、救急出動を要する場合や別の火災が発生している恐れもあり、確認のために時間を要している。
間違いによる119番通報が増加すると、同センターの業務に支障が出ることも危惧される。同消防局の川原亨情報指令課第1指令長は「住民の生命や財産を守るには迅速な出動が欠かせない。『間違いでした』という一言を」と協力を呼び掛けている。(大谷健人)