住宅地にサケ サクラ開花 台風の影響?
自然界に珍事
8月に相次いで台風が接近・通過した十勝で、台風の影響とみられる「珍事」が起きている。豊頃町では季節外れのサクラが開花、帯広市内では住宅地に近い小河川にサケが姿を現し、住民を驚かせている。
旧帯広川に20匹遡上
帯広市東9南4付近の旧晩成川など旧帯広川一帯の小川に、サケが迷い込んでいる。旧晩成川では15日現在で6匹が確認され、相次いだ台風による増水で遡上(そじょう)したとみられている。
住宅地にほど近い、湧き水が水源の最上流部。魚体は黄や赤の婚姻色に染まり、産卵が近づいていることが分かる。
地域の自然に詳しい市生涯学習推進委員の久保田弥寿雄さんによると、同地区にサケが遡上するのは珍しく、2011年の河川増水時に1匹が迷い込んだ程度。近くの川でも確認でき、少なくとも20匹はいるとみられる。久保田さん(76)は「8月に相次いで台風が接近・上陸したことで水位が増し、千代田えん堤をアキアジが越えやすくなっていた」と要因を話す。
旧晩成川は帯広川に合流し、札内川へと流れる。しかし、台風時は札内川の水位が上昇し、水が逆流したことなど複数の要因が重なって迷い込んだとみる。
同地域は1899年から1933年まで鮭ふ化場があった。「サケのDNAに昔の記憶が残っているのかも」との声も。(松田亜弓)
風で葉飛び 春と勘違い? チシマ100輪
豊頃町大津幸町の前川剛司さん(68)の庭では、春に咲くはずのチシマザクラが100輪以上咲いている。
前川さんによると、今月に入って咲き始め、次々と薄いピンク色の花が開花し続けている。樹齢は10年程度。秋の珍事に「こんなに咲いてびっくりした」と前川さんもびっくり。そばでは、台風の強風で倒された別の木が無残な姿を見せている。
真鍋庭園(帯広市)の真鍋憲太郎社長は「強風で葉がちぎり落とされた後、小春日和になると、木は春が来たと勘違いする」と秋の開花を説明する。
気象庁によると、大津地域では8月17日の台風7号で最大瞬間風速34メートルを記録した。
前川さんの庭では、風の影響を受けにくい場所に生えている桜は開花していないが、風の影響を受けやすい所にあるエゾヤマザクラもつぼみをつけている。(関坂典生)