酪農家:企画ユニット「TORI×SADA」 友定雄平さん
「人前で話すのは初めて。めちゃめちゃ緊張している。」と切り出した。ゆっくりとした低い声で「生まれ育った町だから新得が好き。新得を良い町にしたい。」と話すストレートな言葉に、取り組んでいるイベントへの真剣さを感じた。
2014年と2015年の夏、音楽、アート、食、アクティビティ、マーケットを楽しめる野外フェスティバル、GANKE FES(ガンケ・フェス)を、新得町屈足、アイヌ語で「カムイロキ(神の座)」と呼ばれる崖(通称ガンケ)の前で開催した。人気ロックバンドの「モンゴル800」のキヨサクさんや、お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さんらで結成するバンドもステージに立った。十勝での音楽フェス開催に驚いた人も多いだろう。
何となく継いでしまった酪農。そんな思いがあった2010年、幼なじみの鳥本純平さんが、家業の酪農を継ぐためにニュージーランドから帰国した。酪農以外にも何かしたい。2人は、企画ユニット「TORI×SADA(トリサダ)」を結成した。
そんな折、「活気とはそこで何かしたい!という人の数で決まる」という言葉を聞いた。その言葉がずっと耳に残ったそうだ。
何をしたらいいのか? 何度もドライブしたが、結局、家の前の崖が良かった。鳥本さんに相談し、「ガンケフェス構想」が生まれた。上海でアートマネジメント会社を経営している鳥本さんの兄、健太さんの協力も得て、様々なアーティストにお願いし、出演を取り付けた。収入は主にチケット販売で、当日まで不安は尽きなかったが、キヨサクさんが歌う「デイ・ドリーム・ビリーバー」を聞いて、本当にやってよかったと思えたそうだ。今年7月9日に第3回の開催が決定! 夜のステージも予定。友定さんの楽しい不安は尽きそうにない。