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動物園のあるまちプロジェクト

第3回

神山直人さん

飼育展示係/ワシ、タカ

猛禽類を自然に返す



 動物園には、けがなどの理由で保護された猛禽類(もうきんるい)が収容されることがあります。ここ数年は、タカやハヤブサなど1年に5件前後。治療が終わり、健康状態が良好な鳥は自然に返すことができますが、体力面や狩りの技術が未熟な場合、このまま放しても自活していくことはできません。昨年度はチゴハヤブサに対して鷹狩りの技術を利用したリハビリテーションを施し、飛行や狩りの訓練の後、放野しました。

 おびひろ動物園ではこのような取組みの啓発として、タカ科のモモアカノスリ「エブリー」のフリーフライトを実施しています。エブリーはいわば、広報役です。

 フリーフライトは、音や声で呼び寄せる訓練です。使うのは「餌合子(えごうし)」という日本伝統の道具。蓋と器部分を叩いて音を出し、中には餌が入っていて、戻ってきたら少しずつ与えます。

 呼び方には段階があり、それでも戻って来ない場合に備え、「振鳩(ふりばと)」という道具を使った訓練も行っています。これは、動いている疑似餌を空中でつかませる方法です。

 猛禽類は気性が荒いと思われがちですが、実は臆病です。いずれの訓練も、嫌がるものを排除するなど、細心の注意を払って行います。

 フリーフライトは来園者が体験することも可能なので、ぜひ動物園にお越しください。

モモアカノスリのフリーフライトの様子。声や打音の合図で、手元のえさ目がけて飛んでくる

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