歌舞伎の舞台で役者の動作に合わせて音を付ける職人「附(つ)け打ち」の体験イベントが7日、帯広市民文化ホールのリハーサル室で開かれた。東京などで大歌舞伎公演の附け打ち専門職として活動する山崎徹さん(56)が講師を務め、帯広では初めての開催。参加者は、舞台裏から芝居を支える音の力と、伝統芸能の奥深さを体感した。
全国でワークショップを展開している「附けの會」が主催。昼と夜の2部制で行われ、各2人ずつが参加した。
前半は、歌舞伎における音の役割や舞台構成などを解説。お囃子(おはやし)や長唄、三味線などで町の情景や気象現象などを表していると説明した。
「附け」は、役者の動きや見得(みえ)などに合わせて木製の道具で音を出し、芝居の迫力やリズムを高める技法。舞台上で披露される動きと附けの音がどう連動しているかを、日本舞踊家の花柳都弥葵さんの実演とともに紹介していた。
後半は、実際に附け打ち道具を使って体験。音の響かせ方や、タイミングに合わせて音を出す難しさに苦戦しながらも、参加者は真剣に取り組んだ。
日本舞踊を習っているという帯広市の中川積(つもる)さん(30)は「簡単そうにやっているイメージがあったが、実際はすごく難しく技術がいることだった。音で動きを引き立たせる重要な役割であることが勉強できた」と振り返った。(児玉未知佳)