【上士幌】自動運転バスの走行実証を行ってきた上士幌町は、車内に運転手や添乗員が不要になる「レベル4」でバスを走らせる実証実験を28日から始める。町によると、バスのレベル4の実証実験を一般道で行うのは全国で初めてだという。町は「地域公共交通の確保として、次世代の技術を駆使し、町民の豊かな暮らしや産業振興につなげたい」としている。実証期間は11月30日まで。
道公安委員会から今月24日に許可され、特定条件下で自動走行が可能になった。町は、運転手の負担軽減、運行コスト削減など、地方の交通問題解消に向け、2017年から実証実験を重ね、22年12月からレベル2の定期運行を始めた。使用する車両はこれまで通り、フランス・ナビヤ社製の電気自動車(EV)「アルマ」(8人乗り)。
交通ターミナル-役場北側周辺(片道約630メートル)を走る。バスは高精度の3D(3次元)マップに基づいて自律的に走行。車両の周囲には障害物を検知する八つのセンサーを設置し、人の飛び出しなどが起きた場合は自動で止まる。交通ターミナル内にある「遠隔監視センター」から車両の走行位置や走行状況、車内の様子も確認する。
25日に関係者や報道向けの乗車会が行われた。バスの運行管理に協力するソフトバンク子会社「BOLDLY(ボードリー)」(東京)の佐治友基社長は、「安全な自動運転社会の実現を目指す入り口に上士幌町は立った。日常生活に役立てたい」と述べた。竹中貢町長は「8年間の長い歩みを経て、ようやく技術のレベルが整ってきた。より安全性を高めていきたい」と期待を込める。
運行は週3日、月・木・土曜の午前11時45分、午後3時15分の1日2便。町内外問わず乗車無料。現行のレベル2の定期運行はバス1台を新たにリースし行う。町は「レベル4」運行の実験データを取りつつ、近い将来の社会実装を目指していく。(大健太郎)
<自動運転レベル>
人の手による「レベル0」から、完全自動運転の「レベル5」まである。レベル1と2は「運転支援」に分類され、レベル3は高速道路の渋滞時など限られた条件下ではシステムが運転する。レベル4では一定の条件下で人間の介入を必要としない。国は25年度に50カ所、27年度に100カ所以上での自動運転バス実現を目指すとしている。