鹿追を中心とする十勝管内で撮影が行われた映画「おしゃべりな写真館」(藤嘉行監督)が23日、帯広市内のシネマ太陽帯広で全国に先駆けて封切りになった。午前11時10分からの初回上映は全236席が満席となる盛況ぶりで、来場者が銀幕に映し出された十勝の自然や心温まる交流を題材にした作品に見入った。上映に先立ち、藤監督や主演の中原丈雄さんらによる舞台あいさつも行われた。上映は3月21日まで。
初回上映には、鹿追町が臨時運行した送迎バスで町民約40人も駆け付けた。撮影中にロケ現場の準備などに携わった同町内の角川一晴さん(74)は「公開を心待ちにしていた。映画は鹿追の誇り。大きく飛躍してほしい」と期待を込めた。
藤監督「感慨深い」
舞台あいさつで藤監督は「上映を迎えて感慨深い。心に染み入る作品になっているのでぜひお楽しみいただきたい」、中原さんは「映画を育てるのは観客。まず道内で大成功を収めたい」と作品に懸ける思いを語った。このほか、作品に出演した音更出身の女優・中川和恵さんと喜井知己鹿追町長も映画を宣伝した。
29日までの毎日、出演者らの舞台あいさつが予定され、24、25の両日は各上映後に準主演の山木雪羽那さんも登壇する。
作品は、緑内障を患った写真家(中原さん)が、亡き妻の出身地・鹿追で暮らし始め、山村留学生の少女(山木さん)や住民らとの交流、自然に包まれた生活を送る中で心を再生していくストーリー。出演者は他に賀来千香子さんや橋爪功さん、小宮孝泰さん、谷川清美さんら。
鹿追の映画制作会社「和ら美」(代表取締役・藤監督)の初作品。一昨年7月から昨年2月にかけて鹿追や音更町の雄飛が丘と白樺並木、JR帯広駅などでも撮影された。(杉原尚勝)