夏の高校野球十勝支部予選は1日、帯広の森野球場で北北海道大会をかけた代表決定戦が行われた。4年ぶりに全校応援での声出しが解禁され、第1試合の帯広農業高-音更高戦でも両スタンドに「夏の風物詩」、応援合戦が戻ってきた。甲子園を目指して白球を追う選手に、観客が熱気のこもった声援を送った。
「諦めないで」
コロナ禍で制限されてきた全校応援や声出し応援が緩和され、球場には両校の生徒やOB、高校野球ファン、小学生球児など大勢の人が訪れた。三塁側スタンドでは、音更高3年の大河内藍斗さん(17)、木皿湊さん(同)、平川颯真さん(同)の仲良しトリオが「強豪校相手だが、最後まで諦めないで頑張ってほしい」とエール。準決勝で137球の熱投を繰り広げた同校エースの高橋海翔主将に「何より楽しんでくれれば」と願っていた。
「すごく楽しい」
試合は“再甲(さいこう)”を掲げ、パンチ力あふれる打撃が持ち味の帯農高が終始リードする展開に。三回表に適時打が続き2点を奪った際、同校3年の佐藤里華さん(17)と東花楓さん(18)たちは「さすがって感じ。めっちゃアゲ」と喜びを表した。「野球に詳しいわけではないけど、皆で声を出して応援ができるのがすごく楽しい」と笑顔を浮かべていた。
五回裏、全力で選手を応援する音更高の生徒たち(1日午前10時45分ごろ)
代打の息子に感動
最後は帯農高が17-0で六回コールド勝ち。大差は付いたが、終わりまでハツラツとしたプレーをし続けた選手たちに、音更高側スタンドからは大きな拍手が沸き起こった。最終回となった六回裏に代打で出場した同校3年新妻貫汰選手の父親、寛さん(49)は、「息子は高校から野球を始めたが、よくここまで続けてくれた。最後は三振だったが、バットを振ってくれて良かった」と感動しつつ、「十勝代表となった帯農には、精いっぱい頑張ってほしい」と話していた。(山田夏航)