帯広信用金庫営業推進部副部長の鈴木智広さん(45)=音更町=が、今月末で閉店する帯広市内の地元百貨店・藤丸をおもちゃのレゴブロックで制作した。150時間ほど費やして22日に完成。鈴木さんは「たくさんの思い出がある藤丸と、藤丸の歴代関係者へ感謝の気持ちを込めた」と細部まで本物そっくりの造形にこだわり抜いた。「レゴ藤丸」は24日から藤丸7階エレベーター前で展示されている。(松村智裕)
鈴木さんは1977年清水町出身。帯広柏葉高校、北海学園大を卒業し、2000年に帯信金に入った。芽室支店長などを務め、22年4月から現職。
玄関前にはシカのオブジェも
きっかけも藤丸
レゴ歴は25年以上で、大学進学前に藤丸でインテリア用に購入したことが「はまるきっかけになった」。これまでにレゴで帯信金旧木野支店などを制作。藤丸は「いつか作ってみたかった憧れの建造物。十勝・帯広の象徴」と19年10月から作り始めたものの、曲線やガラス部分が多く、外壁などで大量の白パーツが必要になるなど難易度が高く、作業は進んでいなかった。
しかし、昨年7月に藤丸閉店決定をニュースで知り、「それまでに完成させないと一生後悔する」と意欲を新たに。不足していた材料を購入し、制作に本腰を入れた。空撮写真を見たり、実際に足を運んだりして建物を観察。今月に入ってからは寝る間も惜しんで作業に集中し、完成にこぎ着けた。
ショーウインドーなども再現
夢の空間だった
「作っている中で藤丸の思い出がどんどん浮かんできた」と鈴木さん。「少年時代は6階のおもちゃ売り場が、欲しい物すべてがある夢の空間だった。当時、家族で食べた地下階のラーメンの味も覚えている。高校の同級生や今の家族とも何度も足を運んだ」と回想しながら手を動かした。
地上8階、地下3階の百貨店を高さ77センチ、幅51センチ、奥行き90センチで再現。こだわったのはエレベーターの丸いガラス張りの部分。藤丸マークや玄関前のシカのオブジェ、ショーウインドーなども表現した。
鈴木さんは「本当は内装部分まで作りたかった。20年ぐらいかかるかもしれないが、人生の最終目標として藤丸を完璧に作り上げたい」と“藤丸愛”を注ぎ続ける日々はこれからも続く。
OCTVで紹介
帯広シティーケーブル(OCTV)は2月10~16日の番組「とかち青空放送局」の藤丸特集内で、「レゴ藤丸」と鈴木さんについても紹介する。初回放送は同10日午前9時から。