4月にスピードスケート選手を引退した平昌冬季五輪金メダリストの高木菜那さん(30)=幕別町出身、帯南商高出=を招いたトークショーが25日、明治北海道十勝オーバルで開かれた。約250人が集まる中、高木さんは自身のスケート人生を振り返りながら子どもたちにエールを送り、半年ぶりの氷上滑走も披露した。
第一生命保険(東京)の創業120周年を記念した事業で、同社と市スポーツ推進委員協議会の主催。
高木さんは平昌五輪の女子団体追い抜き(チームパシュート)とマススタートで優勝。日本の女子選手で初めて1大会で2個の金メダルに輝いた。今年2月の北京五輪のパシュートでは銀メダルを獲得した。
トークショーでは、同社の大橋朋史帯広支社長と同協議会の作田克博会長のあいさつに続き、高木さんが金メダルを持参して入場。帯広三条高校スケート部員による500メートルやパシュートの滑走を見ながら、同部の後藤陽監督やJAGAのDJ栗谷昌宏さんとトークを繰り広げ、五輪のパシュートメンバーについては「神懸かっているぐらいリズムやタイミングが合っていた」と振り返った。
来場者が見詰める中、滑走を披露した高木さん(小山田竜士撮影)
参加者から事前に募った質問にも回答。スケートの魅力を「自分が思い描く滑りができれば楽しい。速くなる過程が実感できる練習も楽しかった」とし、妹美帆選手については「妹に負けた時はつらかったが、自分の遅さを認め、逃げずに努力し続けたことで今の自分がある」などと語った。
次代を担う子どもたちには「夢に向かって努力することは大切。ただ、今は取り組んでいるスポーツをまず全力で楽しんで。自分から頑張ろうと思えたら、楽しいスポーツ人生になる」と励ましの言葉を贈った。
最後に高木さんはスケート靴を履き、3月のレース以来となる氷上へ。現役当時をほうふつとさせる低いフォームで300メートルほど滑走した。地元での“ラストラン”に会場から大きな拍手が響いた。
後藤監督と帯広大正小6年の山田ミイルさん(11)が花束を贈呈。自身もスケートに打ち込む山田さんは「お話を聞けてうれしかった。菜那さんは小さい体で大きな選手と戦っていたので、私も強い気持ちで頑張りたい」と話していた。(松村智裕)