ワイン造り60年 挑戦続く
出発は農業振興 山ブドウに着目
昨年はワイン製造免許取得60周年、今年は池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(ワイン城)の落成50周年の節目です。苦難の時期から支え続けてくれた町民の皆さまに心より感謝します。厳寒地での取り組みは、常識を打ち破る挑戦の連続。適地適作のブドウ作りというよりも、厳しい環境に耐えうるブドウを生み出す歴史でした。
「十勝ワイン」の出発点は、農業振興です。1952年の十勝沖地震、相次ぐ冷害で財政再建団体となった池田町の故丸谷金保町長が、冷害でもたわわに実っていた山ブドウに着目してブドウ栽培を提唱。これに農村青年が共鳴して、「ブドウ愛好会」を結成したのが始まりです。
生食用のブドウが寒さで枯死する一方、町の山ブドウが、ワイン醸造に適したアムール川流域を原産地とする「アムレンシス」の亜種と判明。64年、町の山ブドウで仕込んだ第1号のワインが、ハンガリーのブダペストの国際コンクールで銅賞を獲得し、ワイン用のブドウ栽培と醸造が本格化しました。
続く品種開発と記念商品で感謝
研究所では、これまでに2万1000を超す品種を開発。寒さに耐え、生産者の作業負担軽減を目的に生まれた清舞、山幸、未来、銀河の4種は、醸造用品種として農林水産省に登録され、栽培しやすくなっています。山幸は道東を中心に広がり、2020年、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に品種登録され、世界に羽ばたこうとしています。私たちはこれまで北国ならではブドウの酸を生かしたブランデー、きめ細かな泡立ちを生むビン内2次発酵法で製造したスパークリングワインなど、多様な酒類も手掛けてきました。
今後も計画的に設備投資をし、さらなる品種開発に取り組み、皆さまに喜んでもらえる「十勝ワイン」をお届けします。町民の皆さま、応援いただいている皆さまへの感謝を込めて、50周年を祝うイベントの企画や記念商品の発売を予定しています。ご期待いただきたいと思います。