帯広信用金庫(高橋常夫理事長)は、十勝の特産品の域内外への販売展開を強化する「十九勝(トクカチ)プロジェクト」に新たに取り組んでいる。特産品専用の自動販売機の設置推進や、SNSなどを活用した販路拡大の仕組みづくりを進めており、新型コロナウイルスの影響長期化で苦しむ管内の飲食店や観光事業者向けに、販路拡大を多面的に支援していく。
同プロジェクトは、帯信金が地域創生支援スキーム助成事業として2020年度の日本財団「わがまち基金」に採択された。帯信金としては芽室町内で展開するご当地自販機に次ぐ事業採択。期間は3カ年。
専用の自販機を設置し、地域活性化に賛同する事業者(パートナー企業)に運営管理を委託、設置場所に応じた特産品を24時間購入できるようにする。管内中心に8台設置予定。
同時に帯信金の公式インスタグラムに特産品や事業者の情報を集中的に発信するほか、東洋(帯広市)が展開するECショップ「食べレア」に7月にも専用ページを開設し、自販機にある商品も買えるようにする。さらに、首都圏百貨店のバイヤーなど「BtoB」の営業強化も兼ねたウェブカタログサイトの制作も計画。期間終了後、自販機は事業者が望めば無償で譲渡することも考えている。
8日午前、自販機第1号が設置された帯信金本店(帯広市西3南7)前で披露セレモニーを開催。高橋理事長やパートナー企業のビゴラス(帯広市)の掛村真二社長らが集まった。同社は市内で飲食店「掛村」や無人販売所「ななつぽし」などを展開、自販機では同社の「ホエー豚ぎょうざ」のほか、「どろぶたメンチカツ」(木川商店)などが買える。掛村社長は「当社の来店売り上げはコロナ前の65%ほど。飲食業界は全体的に厳しい。製造・卸などの部門強化で業界全体の底上げにもつなげたい」とした。
2台目は9日、幸福駅に設置する。パートナー企業はカンナ・カンナ(帯広)で、幸福にちなんだ商品の販売も予定。年内にさらに4台の設置を計画している。
高橋理事長は「十勝には小規模でも魅力ある商品づくりを進めている事業者が多数ある。コロナ禍に関係なく、販促強化ができ、将来も支援が継続できる仕組みをつくりたい」と話している。(佐藤いづみ)