スカイアース果敢なアクションで初の天皇杯へ、長野新監督初采配で歴史的勝利

今季チーム第１号ゴールとなるＰＫを決めた新加入の（１５）ＦＷ下村司が両手を広げて歓喜する

　【札幌】サッカーの第３回北海道選手権大会兼天皇杯第１０１回全日本選手権大会代表決定戦（道サッカー協会など主催）は９日、札幌サッカーアミューズメントパークで決勝を行い、北海道十勝スカイアースが２－１でノルブリッツ北海道ＦＣ（札幌）を下し、初の道代表に輝いた。前半１８分に新加入のＦＷ下村司がＰＫを決めて先制。４分後に同点とされたが、後半３０分にＭＦ縄靖也が頭で勝ち越しゴールを決めた。チームは今季初の公式戦で、長野聡新監督は初采配で初勝利を飾った。スカイアースは、２３日の天皇杯１回戦でＪ２ブラウブリッツ秋田とソユスタ（秋田市）で対戦する。（有岡志信）

◆長野新監督の下、アクションフットボール貫く
　主力６人が負傷で欠く事態にも、新指揮官が掲げる「十勝アクションフットボール」を貫いた。「自分たちで仕掛けて、（ボールを）奪いに行くことを少しずつだけど、考えるよりも先に体が動いていると実感している」。長野監督は着実に成長を続けるチームの底力を強調した。

優勝を決めて初の天皇杯道代表に輝き、スカイアースの選手たちが歓喜する

　前半１８分に自身へのファウルでＦＷ下村がＰＫを左足でゴール右下にきっちりと決めて先制。２２分には同点とされた。シュート数はスカイアースの９本に対しノルブリッツが１５本。守備に回る時間帯も多かった。

　それでも、常にアクションを起こす気持ちは最後まで衰えない。後半３０分、中央のＭＦ縄からパスを受けたＦＷ田中正也が５０メートル６秒の快足を飛ばして左サイドを突破。ゴールライン際からの折り返しを縄が頭でゴールにたたき込んだ。

　今季は縄の攻撃力を生かし、トップ下に配した指揮官の采配が的中した。縄は「狙い通りの得点。チームでやることが明確になっていて、信じるものがあったので」と話す。チーム最多の４本のシュートを放ち、シャドーストライカーの片りんを見せつけた。

前半から積極敵にシュートを放つスカイアースのＭＦ縄靖也（手前、青色ユニホーム）。後半３０分に決勝ゴールを決めた

　ＪＦＬ昇格を目指すスカイアースにとって、天皇杯出場は最大級の目標だった。十勝管内では対等の練習試合の相手がいない。Ｊリーグのチームと対戦する天皇杯出場は「強いチームと対戦できるので、シーズン当初の最大の目標」と渋谷亮コーチは言う。

　Ｊ２チームを倒して下克上を成し遂げれば、十勝の名前が全国に伝わる。選手にとっても、Ｊリーグを目指す絶好のアピールの場だ。十勝アクションフットボールを「もっともっと積み重ねて、２週間後の天皇杯で日本を驚かせたい」と長野監督は意気込む。最北の将が天皇杯の舞台を戦国大会に変えてみせる。

◆新加入のＦＷ下村司、今季チーム公式戦初ゴール
　今季の公式戦チーム第１号ゴールは、ＪＦＬ三重から移籍した新加入のＦＷ下村司のＰＫだった。

　ＦＷ松尾雄斗と２トップで先発出場。ペナルティーエリア付近では、積極的な攻撃と対人の強さを見せつけ、好機をつくった。一方でＣＫなどのプレースキッカーを務めるほどの正確な左足のキックも大きな武器だ。

　下村は「緊張することなく、うまく試合に入ることができ、（松尾とは）やりやすい部分が多かった。ＦＷなのでこれからもたくさん点を取りたい」と話した。

選手を指示を出す長野聡監督。初采配で歴史的勝利をつかんだ

◆ＦＷ田中正也、快足を買われてＦＷに、成果出す
　後半３０分、快足を生かして左サイドを突破し、ＭＦ縄靖也のヘッドでの決勝ゴールをアシストしたＦＷ田中正也は今季、サイドハーフからＦＷへの転向を志願して結果を出した。

　田中の攻撃力をさらに生かし、得点の量産を目標に長野監督がコンバートを決断した。チーム一の足の速さが特長で、相手守備陣を振り切って好機を演出するなど、後半１９分からの途中出場にも存在感を発揮していた。

　昨年１１月の全国地域チャンピオンズリーグ予選ラウンド（Ｒ）では、弘前戦でゴールを決め、決勝Ｒ進出に貢献。「一本のパスを生かしてゴールにつなげたい」と意欲的に語った。

▽決勝
北海道十勝スカイアース　２（１－１　１－０）１　ノルブリッツ北海道ＦＣ
▽得点
【北】
（１）下村司（前半１８分＝ＰＫ）
（２）縄靖也（後半３０分）
【ノ】
（１）蒲生（前半２２分）

＜スカイアースの２０２１年天皇杯＞
　１回戦のＪ２秋田を下すと、６月６日の２回戦でＪ２磐田（ヤマハ）と対戦する。２回戦を突破すると、７月７日の３回戦でＪ１横浜Ｍ、ＦＣ岐阜（岐阜県代表）、Ｈｏｎｄａ　ＦＣ（静岡県代表）のいずれか勝ち上がったチームと対戦する。

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