八千代A遺跡出土品 国の重要文化財に
国の文化審議会(馬淵明子会長)は9日、国の重要文化財(重文)に、新たに美術工芸品50件を指定するよう文部科学大臣に答申した。考古資料の部には、帯広市が所有する八千代A遺跡(帯広市八千代町基線194付近)出土品一括580点が選ばれた。重文への美術工芸品(考古資料)の登録は十勝から初めて。
資料は、土器・土製品39点と、石器・石製品541点の計580点。出土品の所有者は帯広市で、帯広百年記念館(北沢実館長)が保管している。
答申では「北海道東部における最初期の定住生活の実態と、その文化的内容を理解する上で極めて重要な資料であり、極めて高い学術的価値を持つ」と評価された。
八千代A遺跡は、縄文時代早期前半、今から約8500年~9000年前のころの遺跡。1985~88年に発掘調査が行われた。調査では、この時期の竪穴式住居跡105件や土器、石器などの遺物約8万9000点が出土した。
答申された50件は今後、官報告示を経て正式に登録される。今回の答申の件数も含め重要文化財(美術工芸品・考古資料の部)件数は全国に594件、道内は31件。
帯広市教委の嶋崎隆則教育長は「学術的価値が認められたことは、大変光栄なこと」とし、「より多くの方が地域の歴史や文化財に関心を持っていただけることを期待している」とコメントした。
遺跡の発掘作業に携わった同館の北沢館長は、「道内東部における大規模集落遺跡として最古の事例で、全国的に見てもこの時期としては珍しい遺跡。指定されたことは、とてもうれしく思う」とし、「今回の指定を機に、十勝の遺跡に関心を持ってもらいたい」と述べた。
同館では今夏を目標に、出土品の公開を目指している。(藤島諒司)