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大正神社湧き水「幸震」 宮司と住民守り12年、人気の水に

筒井宮司が地域住民と共に復活させ、保全を続ける境内の湧き水

 大正神社(筒井洋一宮司、帯広市大正本町)の境内にある湧き水「幸震(こうしん)」を筒井宮司(48)と同神社奉賛会(現会長は伊藤栄三さん)が復活させ、水質保全を図って12年になる。「神社の湧き水」として本州からもくみに来るほど評判を呼び、近くにある旅行者向けの無料宿泊施設「大正カニの家」利用者らも活用する。筒井宮司は「災害時の非常用水としても利用できる」と整備を続ける。

 神社境内の北西の端、大正ふれあい広場に面した斜面から水が湧き出す。旧国鉄広尾線(1987年廃線)が運行されていた当時は近くの国鉄官舎の住民らが水を利用していたが、同線廃止後は荒れ果て、ごみも捨てられていた。

 99年に禰宜(ねぎ)として筒井さんが同神社に着任、2004年に宮司となり境内の整備を進める中で、参拝者から「境内に湧く水を大切にしてほしい」と指摘された。奉賛会(当時の会長は林義一さん)の協力でごみを掘るときれいな湧き水が現れ、さらに歴史を調べると1933(昭和8)年、神社の移転造営の際、この湧き水があることが場所選定の理由の一つだったことも分かった。

 清掃、砂利の入れ替え、階段の整備などを進めて湧き水を復活させ、05年に一般開放した。毎年1回の水質検査も行って安全性を確かめ結果を掲示、大正の元の地名「幸震」の湧き水として看板を立てた。湧き水としての性質上「飲用」を勧めることはできないが、本州から「お水取り」に訪れる人や、「この水でコーヒーを入れるとおいしい」と、煮沸して使う水として管内からくみに来る人もいる。

 大正カニの家に宿泊するライダーも活用。愛知県の男性(68)は「毎年、この水で米を炊く。とてもおいしい」と笑顔を見せる。

 筒井宮司は「水温は夏も冬も約7度。湧き水から流れ出た小川にはエゾサンショウウオやニジマスも生息する。小さい子どもたちも安心して水遊びができる。災害時に水道が止まってもこの水は利用できる。奉賛会の総代の皆さんと共に守り続けたい」と話している。(横田光俊、塩原真)

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