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協会賞に中札内の村上さん 羊毛つむいで「樹木の外套」

協会賞に輝いた「樹木の外套」

 平原社美術協会(瀧川秀敏会長)の公募展「第92回平原社展」の作品審査が9日に行われ、最高位の協会賞に村上知亜砂さん(44)=中札内=の「樹木の外套(がいとう)」(彫刻)が選ばれた。自ら調達した羊毛を紡ぎ、天井からつるす高さ2メートル超の大型作品。村上さんは「受け入れてもらえるか、それすら分からなかったので、驚きの気持ち」と喜んでいる。

 今年は油彩、水彩、版画、日本画、工芸、彫刻の6分野で計54点の応募があった。会員が審査し、入選51点の中から、協会賞1点、生駒賞1点、佳作賞5点などを決めた。

 村上さんは大阪府出身。母親が美容師だったことから、幼い頃からヘアサロンで髪の毛を掃くなど手伝いをしていた。「ふわふわしてきれいだった」と、柔らかく繊細な髪の毛に関心を抱き、繊維に興味を持つように。京都の短期大学で造形美術を学び一時は京都で働いたが、学生時代に何度も訪れた北海道の土地柄に引かれ、2004年に中札内村に移り住んだ。

 現在は測量のアルバイトで生計を立てながら、創作活動に取り組む。「柔らかく、ちぎれば破れるのが魅力」という羊毛のほか、草木などの繊維を使い、空間全体を作品にするインスタレーションが作風。これまでも全国各地の公募展に応募し、平原社展には今回が2回目の出品。

 受賞作は王様が羽織るマントをイメージした。使用した羊毛は池田町の「スピナーズファームタナカ」などで購入。接着剤などは一切使わず、自宅前の駐車場で洗剤入りのお湯で羊毛を洗うなどし、手作業で紡いだ。瀧川会長は「見応えがあり、『何だろう』と引き付けられる作品」と評価した。

 村上さんは「審査する皆さんの懐の深さを知った」と感謝し、今後は帯広での展覧会開催にも意欲を見せている。第92回平原社展は13日から25日まで、帯広市民ギャラリー(JR帯広駅地下)で開かれる。(高津祐也)

 その他の入賞・入選者は次の通り。(敬称略)

▽生駒賞=廣瀬裕鴻(水彩、帯広)
▽佳作賞=原かおり(油彩、帯広)吉田洋子(同、同)佐藤真康(同、同)加藤早織(同、同)石丸尚史(同、同)
▽会友推挙=岡本麗子(油彩、豊頃)酒森夏海(同、幕別)石黒公道(同、東京)茨木源三(同、帯広)水尻悦子(同、音更)山岸温子(日本画、幕別)
▽会友賞=瀬戸忠男(油彩、帯広)高橋延彰(同、同)宮田マツ子(同、芽室)太田紀子(水彩、同)千葉真喜子(同、同)佐々木裕二(版画、新得)嵐田美智子(彫刻、帯広)川橋雪広(同、同)木村征子(工芸、同)
▽会員推挙=塩塚きみ子(日本画、帯広)

関連写真

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