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佐藤力42キロ総合V 十勝大平原クロスカントリースキー

男子42キロで、力強いラストスパートを見せる新得町出身の佐藤力。総合優勝を飾った

 クロスカントリースキーの2016十勝大平原大会inおびひろ(実行委主催、十勝毎日新聞社など共催)が6日、帯広市岩内仙峡のTBK・日立オートモティブシステムズ十勝試験場を発着点に行われた。最長の42キロで、男子は35~49歳の佐藤力(網走・北海道ライスポ、新得町出身)が2時間11分12秒で同部門とともに総合でも優勝を果たした。総合2位は50~59歳を制した西浦誠(帯広XC)。60歳以上は濱田力範(帯広第一病院)が大会4連勝を果たした。女子は連覇の懸かった芽室町在住の帯広クロスカントリースキークラブの佐々木富子が2位。同クラブに所属経験のある佐藤さおり(札幌)が初制覇した。28キロでは男子は35~49歳の吉田昌利(帯広)が1時間25分30秒で総合首位に輝いた。(北雅貴、菅生佳孝、折原徹也、新井拓海)

◆佐藤力、7年ぶり総合V「相性が良い大会」
 男子42キロの佐藤力(44)は、2009年に67キロの部で総合優勝を果たして以来の栄冠に輝いた。

 新得町屈足出身で、7年前まで帯広養護学校などに勤務していた。網走に転勤して以降も、この大会にはほぼ毎年参加し、上位に入賞し続けているだけに、コースや天候、雪質の特徴はばっちりと頭に入っていた。冬休みには帯広で練習も重ねており、「天気予報よりもコースの気温は上がらない。レース中に降る雪も新雪で、ベチャつかないだろう」と予想して、ワックスを選んだ。

 読みが当たり快調な滑り出し。10キロを過ぎてから「思ったよりもしっとりとした雪質に変わった」と苦戦しながらも、必死で食らいつき4人ほどの先頭集団の中で順位をキープした。20キロを過ぎて前を行く2人の選手がコースを間違えた。大声で注意をしたが届かず、思わぬ形でトップに。西浦誠を残り10キロすぎから少しずつ引き離し始めゴールした。「気温が下がり、20キロすぎから板がまた滑りやすくなった」と、声を弾ませた。

 屈足中時にはクロスカントリースキーの選手。一時中断していたが、社会人になり、30歳ごろから再び始めた。夏場は自転車競技に取り組み、登山を趣味とする体力自慢。クロカンスキーで今冬は湧別原野オホーツク大会(2月28日、オホーツク管内遠軽町など)85キロで5位に入賞し、尻上がりに調子を上げていた。「棚ぼたでも優勝は優勝。相性が良い大会です。来年もトップを狙う」と力を込めた。

男子42キロ総合優勝の佐藤力(左)と2位の西浦誠

◆総合で過去最高2位の西浦誠「うれしい」
 男子42キロ総合2位の西浦誠(55)は、過去最高の順位となった。「年代別では何度も優勝しているが、総合では3位が一番良かった。昔から知っている佐藤(力)君には負けたけど、ワンツーでゴールできうれしい」と、満足そうだった。

 20キロすぎまでは拮抗(きっこう)した力を持つ4、5人の選手が先頭集団を作り、トップを譲り合いながらそれぞれが体力を温存した。西浦も何度も引っ張った。

 夏場は自転車のロードレースで大会に出場し、冬は11月ごろからクロスカントリースキーの練習に切り替えている。休日は2、3時間滑り、平日もトレーニングを欠かさない。悪天候などの際は自宅で固定された自転車をこいで体を鍛えている。

 50代半ばになった現在も体力は落ちていない。今季も恵庭や江別の大会などで年代別で頂点に立っている。「来年の十勝大平原は、年代別連覇と総合は5位以内に入ればいいかな」と笑った。

女子42キロを初制覇した佐藤さおり

◆女子42キロ初Vの佐藤さおり「ボランティアのおかげ」
 「雪が降り、スキー板の滑りが悪くて苦しかった。寒い中、レース中に励ましてくれたボランティアの方たちのおかげ」。女子42キロで初優勝を遂げた佐藤さおり(46)は謙虚に話した。

 4年半ほどを帯広で過ごし、帯広クロスカントリースキークラブでは、今大会2位の佐々木富子らの指導を受けた。5年前に夫の転勤に伴い、十勝から離れて今は札幌に住んでいるが、帯広での大会をいつも楽しみにしている。

 この日は序盤から1位をキープ。31キロ付近の登り坂からピッチを上げるなど最後まで力強い動きを見せた。「思い出深い大会となった」とうれしそうだった。

女子42キロの上位入賞者。2位の佐々木富子、優勝の佐藤さおり、3位の蜂谷涼子(左から)

◆女子42キロ2位の佐々木富子、今季最後の大会「楽しめた」
 女子42キロの佐々木富子(58)は、優勝よりも完走を第一の目標に臨んだ。先週の湧別原野オホーツク大会で85キロを完走した際に脱水症状で倒れ込み、風邪の症状もあったことから、今回はマイペースを貫いた。こまめに水分補給もし、細心の注意を払った。

 帯広クロスカントリースキークラブでは指導者でもある。レース中には力走する教え子に声を掛けて励ます場面も。恵庭の大会での優勝を含め今季は出場した6戦全てで入賞し、「今季最後の(地元の)大会も楽しめた」と笑顔で振り返った。

最後まで力走し、男子28キロの総合トップに輝いた吉田昌利

◆28キロ男子総合優勝の吉田昌利「来年は42キロを」
 28キロの男子35~49歳を制し、総合首位に立った吉田昌利(38)は2回目の出場。元自衛隊員で、バイアスロンをやっていた経験を生かし練習を重ねた。

 「最初は遅れていても、雪の質などによってばん回が可能。そのあたりの駆け引きがクロスカントリーの魅力」と話す。スタート直後、隣の選手のストックが足に絡まり転倒するアクシデントに見舞われたが、気持ちを切り替えて滑走。18キロ地点の分岐路では既に先頭に立ち、「そこからは自分との戦いだった」という。

 昨年は42キロに出場したが、今年は練習する時間が取れず28キロに切り替えた。「42キロとの分岐点で(同距離出場の)前の集団と分かれたときには寂しく感じた。来年は42キロに挑戦したい」と意欲を見せた。

男子42キロ60歳以上の部を制した濱田力範(中央)

◆濱田力範、男子42キロ大会4連勝
 男子42キロ60歳以上で帯広市の濱田力範(62)が大会4連勝を果たした。悪天候ながら昨年よりも約3分タイムを縮め、2位と約19分の差をつけての快勝だった。

 競技を本格的に始めたのは10年前。「膝や腰にあまり負担がかからない」と利点を語る。今大会は「ワックス(選択)に大分悩んだ。もっと雪が降るかと思っていたが、あまり降らなかったのが逆に良かったのでは」と振り返った。

 折り返し地点あたりまでは3、4番手につけていたが、気づくとスキーの跡が少なくなっていたという。「前に人がいないと分かると、もしかしたら優勝できるのではと一層奮起した」と話す。

 夏場は自転車で週に100時間以上は走っている。「来年も再来年も、生涯クロスカントリーを続けていきたい」と意気込んだ。

歩くスキー5キロ中学生以下トップの上田真也

◆小学6年の上田真也「次も1番を」
 歩くスキー5キロ中学生以下の部は、新得小6年の上田真也(屈足クロスカントリースキークラブ)が、2位に約14分の差をつける18分49秒を出してトップに立った。

 冬季競技の五輪出場級選手を育てる道の「北海道タレントアスリート発掘・育成事業」にバイアスロン選手として選ばれたことがきっかけで、昨季からクロスカントリースキーを始めた。地元の少年団に所属し、平日は毎日2時間練習している。

 この日は最初からリードを広げ、成長したという上りの滑りでもペースを乱すことはなかった。上体が前かがみにならないようにフォームにも気を配り、大きな大会で初の1位に。「気持ち良かった。次も1番を取りたい」と喜んでいた。

◆高齢スキーヤー奮闘
 今大会には高齢のスキーヤーも多く参加し、完走を果たした。

 5キロ一般に出場した帯広市の足助亶さん(88)は足寄町出身。60歳で定年退職をした後、歩くスキーを始め28年目を迎える。「小学校の頃、スキー板を履いて学校に通っていたのを思い出した」のがきっかけだという。「新鮮な空気を吸いながら、マイペースに楽しめるのが魅力。90歳までは滑りたい」と笑顔を見せる。

 同部門の磯谷政美さん(92)は今大会の最高齢出場者。中札内で開かれた第2回大会から休まずに出場している。「面白半分で、健康のために始めたら楽しくなった」と話す。「冬が来るとじっとしていられない。体の動く限り続けていきたい」と意気込みを語った。

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