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高木菜那、初の総合Vに王手、全日本スケート選手権

【女子1500メートル】高木菜那は妹の美帆に1秒近くの差を付け優勝を飾る

 スピードスケートの第82回全日本選手権(日本スケート連盟主催)最終日は21日、明治北海道十勝オーバルで男女4種目を行った。午前の女子1500メートルは高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)が1分58秒52で制して初日からの総合首位を保ち、初優勝に大きく前進した。妹美帆(日体大-帯南商高出)は同走の菜那を追って1分59秒46で2位となり、総合でも2位を保った。20日午後の男子5000メートルは、渡部知也(日体大-池田高出)が6分44秒34で3位となり、2種目を終わって総合3位につけた。ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)は、自ら持つ国内最高記録を約4秒更新する6分25秒81の好タイムで制し、2種目総合で首位に立っている。女子3000メートルは高木菜那が4分11秒27で1位、美帆も3位となり姉妹で表彰台に立った。4位には僅差で藤村祥子(宝来中央歯科)が食い込んだ。(岡部彰広、折原徹也、金野和彦)

「準完全」へ視界良好 菜那
 高木菜那は初日の3000メートル、最終日の1500メートルで1位となり、3種目を終えて文句なしの首位で初の総合優勝へ王手をかけた。

 3000メートルはW杯で3戦して8位が2度、今季の練習拠点としているオランダのヘーレンフェイン大会はワーストの10位だったが、強い欧州勢との上位争いまであと一歩の位置に来ている。

 「調子が上がっていた」。狙ったタイムは高速ではないW杯のリンクで出してきた4分10秒を切るタイム。ただ地元開催のビッグタイトルだけに「緊張して硬くなった。リズムがつくれずラストは足に(疲れが)来た」と終盤に失速した。今村俊明監督も「これでは(世界と)勝負にならない」と手厳しかったが、それでも悪いなりにW杯帯広大会のタイムを0秒56上回った。

 最終日最初の1500メートルは、日本歴代2位の記録を持つ得意種目。唯一1分58秒台をたたき出す好タイムで同走の妹・美帆を振り切るとともに、国内最高記録保持者の菊池彩花(富士急)にも勝利。5000メートル換算で美帆に9秒61、菊池に14秒30の差をつけ、初優勝へ大きく前進した。「(最後の)5000メートルもそう悪くない滑りができると思う。(1500メートルに続き)2本制して総合優勝したい」と、500メートルで2位になっただけの「凖完全」制覇へ向け、言葉の端々に闘争心をのぞかせた。

女子3000メートル表彰で、メダルを掲げる高木菜那(中央)。左は2位の菊池彩花、右は3位の高木美帆

 見えた光明 メダル射程 高木美
 今季不調だった高木美帆(日体大-帯南商高出)が3000メートルで3位表彰台に立った。「(同じ組の)菊池(彩花)さんのおかげで最後まで粘れた。いいところで追えたのもよかった」と振り返った。

 W杯は1000メートルのみの代表。Aクラスで1度出場し18位、格下のBでは帯広大会の4位が最高。現在の調子も「いい方ではない。試行錯誤している」と話したが「その中で気持ちで走れたのはよかった」と前を向いた。得意種目の一つ、1500メートルでは2位となり、3種目を終わって総合でも2位。姉・菜那との一緒のメダル獲得が近くなってきた。

【男子5000メートル】終盤に勝負をかけ、3位に食い込んだ渡部知也

渡部(池田高出)3位 男子5000
 渡部知也(日体大-池田高出)が、国際大会代表組を含めた全日本クラスの5000メートルで、初の表彰台に立った。

 中学、高校での全国覇者で世界ジュニア選手権にも出場した逸材だ。今春大学を卒業、そのまま同大研究員となって合宿寮のスピードスケート部員の寮監などをしながら学生とともに練習。ただ「もう学生気分でいられないと思い、例年より厳しくやってきた」。

 地元でのレースで、さらに「距離別選手権後、W杯代表が懸かっているのでベストパフォーマンスを出したいと思っていた」。最初の500メートルは、練習していたスタートダッシュが決まり、36秒88の自己ベストタイムで5位。5000メートルでは3位になった。「リズムが落ちそうなときに、(カルテットスタートで別組の)抜かしていった師円を追えてラップが上がったおかげ」と謙遜しながらも、表彰台を素直に喜んだ。

【男子5000メートル】6分25秒82の国内最高記録で優勝し、ガッツポーズを見せるウィリアムソン師円

師円圧巻 国内最高を更新「日本を引っ張る」
 男子総合優勝候補のウィリアムソン師円が、5000メートルでオランダ仕込みの底力を発揮した。

 3000メートルまで1周29~30秒台。ここまでW杯帯広大会(11月16日)でリンク記録を出した、世界記録保持者のスベン・クラマーを上回るタイムだった。さすがに終盤は失速したが、それでも10月に長野で自らが樹立した国内最高を大幅に上回り、高校生だった昨年、高速のソルトレークシティー(米国)で出した日本ジュニア記録にあと1秒に迫った。

 W杯第3戦ベルリン大会から採り入れた「最初から突っ込んでいく」(師円)新しいレーススタイルだ。世界との差はあるが、国内では平子裕基(元開西病院)以来の長距離エースと呼べる存在になった。「日本を引っ張っていかなくてはならない。もっともっと頑張りたい」。残りの中長距離2種目を制しての総合制覇に意欲を見せた。

落胆のW杯から復調「滑れた」 藤村祥
 藤村祥子が復調した。3000メートルでは目標としていた4分10秒台から遅れたが、マイペースで1周33秒台を刻み、僅差の4位に入った。

 13日のW杯ヘーレンフェイン大会3000メートルAクラスでは、4分19秒58で最下位の19位。落ち込んで16日に帰国した。しかし小竹直喜監督のアドバイスの下、まる2日練習を休みにして疲労を取ると同時に、体重移動のタイミングやキックの方向を修正。「(遠征では)一人で練習をしているので、どう滑っているのか分からなかったようだが、もう大丈夫」と小竹監督。藤村も「もう滑れないと思っていたが滑れた」とほっとした表情だった。


<全日本選手権>
(21日・7位以下関係分)
【女子】
▽1500メートル
(カルテット)
世界記録 シンディー・クラッセン(カナダ)1分51秒79
日本記録 田畑 真紀(ダイチ)1分54秒28
国内最高 菊池 彩花(富士急)1分58秒12
リンク記録 イレイン・ブスト(オランダ)1分56秒93

(1)高木 菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)1分58秒52
(2)高木 美帆(日体大-帯南商高出)1・59・46
(3)菊池 彩花(富士急)2・0・05
(4)田畑 真紀(ダイチ)2・0・12
(5)松田 有幾(アルムシステム)2・1・51
(6)樋  沙織(日本電産サンキョー)2・1・60
(7)押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)2・2・19
(8)藤村祥子(宝来中央歯科)2・2・28
(10)高橋菜那(山梨学院大-白樺学園高出)2・3・53
(11)酒井寧子(高崎健大-帯南商高出)2・4・30
(12)辻本有沙(信州大-白樺学園高出)2・4・36
(13)門奈津実(ダイチ-白樺学園高出)2・4・49
(18)藤村あゆみ(タカショー-日体大、白樺学園高出)2・6・23
(19)山田真以(日体大-帯三条高出)2・6・47
(22)原田梨央(山梨学院大-白樺学園高出)2・7・15
(24)川口愛莉(日体大-帯南商高出)2・7・51
(26)小野寺優奈(帯南商高)2・7・66
(28)澤尻磨里英(白樺学園高)2・10・57
(29)酒井嘉子(同)2・11・74
 
▽3種目総合(途中経過)
(1)高木 菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)121.044
(2)高木 美帆(日体大-帯南商高出)122.005
(3)菊池 彩花(富士急)122.474
(4)田畑 真紀(ダイチ)123.275
(5)樋  沙織(日本電産サンキョー)123.323
(6)押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)124.241
(7)藤村祥子(宝来中央歯科)124.795
(8)松田有幾(アルムシステム)125.264
(9)高橋菜那(山梨学院大-白樺学園高出)125.517
(11)酒井寧子(高崎健大-帯南商高出)126.179
(12)辻本有沙(信州大-白樺学園高出)126.279
(15)門奈津実(ダイチ-白樺学園高出)127.492
(16)山田真以(日体大-帯三条高出)127.809
(19)小野寺優奈(帯南商高)129.331
(20)原田梨央(山梨学院大-白樺学園高出)129.401
(21)川口愛莉(日体大-帯南商高出)129.629
(23)藤村あゆみ(タカショー-日体大、白樺学園高出)130.124
(28)澤尻磨里英(白樺学園高)131.509
(29)酒井嘉子(同)133.213




(20日・同)
【男子】
▽5000メートル
(カルテット)
世界記録 スベン・クラマー(オランダ)6分3秒32
日本記録 平子 裕基(開西病院)6分21秒98
国内最高 ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)6分29秒76
リンク記録 スベン・クラマー(オランダ)6分20秒90

(1)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)6分25秒81=国内最高
(2)一戸誠太郎(信州大)6・31・51
(3)渡部 知也(日体大-池田高出)6・44・34
(4)土屋 良輔(専大)6・47・06
(5)帰山 雄太(水戸開研)6・47・58
(6)小川 翔也(専大-池田高出)6・47・69
(8)小川拓朗(帯広連盟)6・49・87
(14)横山碧生(山形中央高-池田中出)6・52・82
(19)山澤諒(大東大-池田高出)7・0・33
(20)千葉将志(明大-白樺学園高出)7・2・80
(25)今野陽太(開西病院)7・14・31
(27)磯賢汰(日大-帯農高出)7・22・85
(29)居城和樹(信州大-帯南商高出)7・40・61
(31)小坂龍(専大-白樺学園高出)7・44・52
 
▽2種目総合(途中経過)
(1)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)75.381
(2)一戸誠太郎(信州大)76.941
(3)渡部 知也(日体大-池田高出)77.314
(4)中村 奨太(ロジネットジャパン)77.946
(5)小川 翔也(専大-池田高出)78.529
(6)新山  強(徳島体協SC)78.962
(10)小川拓朗(帯広連盟)79.577
(16)今野陽太(開西病院)79.921
(17)横山碧生(山形中央高-池田中出)80.182
(21)山澤諒(大東大-池田高出)80.879
(24)磯賢汰(日大-帯農高出)81.285
(27)千葉将志(明大-白樺学園高出)81.850
(29)居城和樹(信州大-帯南商高出)82.761
(31)小坂龍(専大-白樺学園高出)84.072

【女子】
▽3000メートル
(カルテット)
世界記録 シンディー・クラッセン(カナダ)3分53秒34
日本記録 田畑 真紀(ダイチ)4分1秒01
国内最高 石野枝里子(日本電産サンキョー)4分6秒77
リンク記録 イレイン・ブスト(オランダ)4分4秒91

(1)高木 菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)4分11秒27
(2)菊池 彩花(富士急)4・13・73
(3)高木 美帆(日体大-帯南商高出)4・13・89
(4)藤村 祥子(宝来中央歯科)4・13・95
(5)田畑 真紀(ダイチ)4・15・69
(6)松岡 芙蓉(富士急)4・17・54
(8)押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)4・20・53
(10)酒井寧子(高崎健大-帯南商高出)4・21・04
(11)高橋菜那(山梨学院大-白樺学園高出)4・21・31
(15)山田真以(日体大-帯三条高出)4・25・16
(17)辻本有沙(信州大-白樺学園高出)4・27・16
(19)門奈津実(ダイチ-白樺学園高出)4・29・08
(20)原田梨央(山梨学院大-白樺学園高出)4・29・09
(21)川口愛莉(日体大-帯南商高出)4・29・26
(23)小野寺優奈(帯南商高)4・30・77
(24)澤尻磨里英(白樺学園高)4・31・18
(25)松田有幾(アルムシステム)4・31・26
(26)藤村あゆみ(タカショー-日体大、白樺学園高出)4・31・67
(27)蓑田結依(白樺学園高)4・33・40
(30)酒井嘉子(同)4・37・80

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