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辻500、高木菜1500初V 全日本距離別スケート

【女子500メートル2回目】辻麻希は2位に0.02秒差で優勝、きん差の勝負をものにした

 【長野】ワールドカップの代表選考会を兼ねたスピードスケートの第21回全日本距離別選手権(日本スケート連盟など主催)第2日は25日午前、長野市のエムウエーブで男女の500メートルを行った。女子は1回目に38秒78で首位の辻麻希(開西病院)が2回目で2位ながら2本合計77秒38で初優勝、小平奈緒(相澤病院)の6連覇を阻止した。郷亜里砂(イヨテツスピード-山梨学院大、白樺学園高出)が4位に食い込んだ。男子は、1回目に2位だった及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)が2回目に逆転して優勝、1回目に首位だった羽賀亮平(日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)が2位、長島圭一郎(日本電産サンキョー-日大、池田高出)は3位だった。

 24日の第1日は1500メートルを行い、女子はソチ五輪代表でオランダ合宿帰りの高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)が1分59秒04で初優勝し、帯広を含むワールドカップ前半戦の代表を確実にした。5位には押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)が入った。高木美帆(日体大-帯南商高出)はスピードに乗れず、昨年の6位を下回る8位に終わった。男子の十勝関係選手は、前日本記録保持者の今野陽太(開西病院)の5位が最高。6位に小川拓朗(帯広連盟)、7位に小川翔也(専大-池田高出)が入った。(岡部彰広、折原徹也)

◆女子500メートル初Vの辻「優勝はうれしい」
 辻麻希(開西病院)が女子500メートルを初制覇した。タイムこそ2本とも昨年を下回り「練習でやってきたことが半分しか出せなかった」と反省したが「それでも優勝はうれしい」と笑顔で喜びを表した。

 1回目で小平奈緒に0・07秒差をつけ首位に。小平と同走となった2回目は、持ち前のスタートダッシュで最初の100メートルを出場者中最速の10秒42で飛び出したのが大きかった。「何が何でも勝とうと焦りが出たのかも」とゴール前でわずかに逆転を許したが、優勝を示す電光掲示板を見てほっとした表情を見せた。

 ただ、完勝とならなかったことには残念そうだった。「1本勝っただけでは勝ったうちに入らない。同走で勝ってタイム差もつけられるようにしたい」と新たな目標を掲げた。

女子1500メートルで初優勝、表彰台の真ん中で右手を挙げ笑顔を見せる高木菜那

◆オランダ合宿で自信、高木菜那「ラストは自分が速い」
 高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)が、“オランダ効果”で初優勝を遂げた。同走の小平奈緒(相澤病院)に最後のコーナー出口手前で並び、そのまま抜き去るとともに、過去最高位だった3位の成績を一気に更新した。

 ソチ五輪で圧倒的な強さを見せたスケート王国・オランダに、6月からウィリアムソン師範ら同社の中長距離陣3人で長期合宿を敢行した。スポーツシューズメーカーの支援を受けた「ニューバランス・スハート(スピードスケート)チーム」に仲間入り。現地では五輪で金を含む4つのメダルを獲得した37歳のベテラン、ボブ・デヨングも合流するなど「目の前にトップスターがいる中」(今村俊明・日本電産サンキョー監督)で大きな刺激を受けながら練習してきた。

 「今季はオランダのことをたくさん学んで自分のものにする年にしたい。日本のやり方を全て捨てる」(高木)と、これまでやってきたことを白紙に戻し、ヨハン・デビットコーチの言うことだけを信じてやってきた。オランダ選手がよくやる練習の一つ、有酸素トレーニングでは、長い時には3時間に及ぶ自転車走行をして、心肺機能を養った。

 スピードを最後まで保つ技術も、オランダ人選手の後につき、その独特のリズムを学ぶことからつかもうとしている。

 11日に帰国して迎えた開幕戦最初のレース。来日中のデビットコーチから「自分の力を信じろ」とアドバイスをもらった。小平に先行されても「ラストは自分の方が速い」と焦ることなく自分のリズムを刻み続けた。最終周のラップタイムは唯一の31秒台。2位の小平とは1・25秒もの差があった。「オランダ人と滑れる環境があったおかげで、直線でのリズムなどが技術的に少し変わった。少しは自信になった」と結果が出せたことを素直に喜んだ。

 今村監督も褒めた。「あれだけの環境を与えられてみっともない滑りはできないという強い気持ちが出た結果だ」。ただ、タイムは昨年のこの大会で出した1分58秒70には及ばなかっただけに「今回の滑りはまだまだ。次の3000メートルを見てほしい」と、まな弟子に対して湧き上がる期待感を隠さなかった。

◆押切美沙紀、新練習方法に試行錯誤
 押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)は、得意種目の1500メートルで5位。今季は所属先を離れ、外国人コーチの下で始まったナショナルチームで練習してきたが「新しいやり方はうまくいかなかった」と首をひねった。

 休日の取り方が変わったほか、疲労などはマッサージで取るのではなく個々で工夫してリカバリーする方法に変わった。ただそれが悪いわけではなく「自分で考えることで新しい発見につながった」という。

 現在は体が重い状態という。「でもそれが本当は調子がいいことなのかもしれないし」と手探り状態の中で、五輪直後の1年を鍛えていく。

◆5位の今野陽太「帯広のW杯に出たい」
 男子1500メートルは、今野陽太が不調ながら十勝勢最高の5位となった。大会前のタイムトライアルで結果が出なかったが「その割には走れた方」。最終周回のラップタイムを前周の2秒落ち以内にしっかりまとめた。

 同種目のW杯出場枠は5。代表権を得るには他の条件も加味されるが、最低限の順位を確保した。「帯広でのW杯は五輪と同じぐらい出たい大会。1000メートルでは上位に入って(代表を)確実にさせたい」と意気込んでいた。

◆高木美帆、持ち味発揮できず失速
 女子1500メートルを得意とする高木美帆(日体大-帯南商高出)はスピードに乗れず、持ち前の後半の粘りも発揮できずに8位に終わった。

 シーズンに入っても、特にコーナーでスピードが乗らないという。「悩んでいたものが自分の中で解決しないまま…。迷いが少なからずあった」と苦悩しながらの滑りを振り返った。

 それでもトップ選手の意地はある。「トップスピードが出なければ勝負にならないが、残り2日、今できるところでやっていかなくては」とW杯代表権獲得へ決意を新たにした。

男子1500メートルを大会新で制した社会人1年目・ウィリアムソン師円の話
 今年は1500メートルと5000メートルで勝てるよう頑張っている。(オランダ合宿は)高校時代より苦しい練習をしていないので不安だったが1分48秒台が出た。うれしいというより、ひと安心。

(7位以下関係分)
(25日)
【女子】
◇500メートル(2本合計)
世界記録 イ・サンファ(韓国)36秒36
     ヘザー・リチャードソン(米国)74秒19
日本記録 小平奈緒(相澤病院)37秒29
     小平奈緒(相澤病院)75秒20
大会記録 小平奈緒(相澤病院)37秒93
     小平奈緒(相澤病院)75秒91
リンク記録 イ・サンファ(韓国)37秒60
(1)辻麻希(開西病院)77秒382((1)38秒788(2)38秒594)
(2)小平 奈緒(相澤病院)77・402((2)38・855(1)38・547)
(3)住吉都(ローソン)77・958((3)39・036(3)38・922)
(4)郷亜里砂(イヨテツ-山梨学院大、白樺学園高出)78・532((4)39・443(4)39・089)
(5)松田有幾(アルムシステム)80・017((5)40・079(6)39・938)
(6)永田希絵(高崎健大-帯南商高出)80・124((6)40・168(7)39・956)
(8)辻本有沙(信州大-白樺学園高出)80・214((7)40・211(8)40・003)
(10)浅野実久(帯南商高)80・543((9)40・339(11)40・204)
(13)山根佳子(日体大-帯柏葉高出)80・848((11)40・375(14)40・473)
(15)桜井萌美(日体大-白樺学園高出)81・455((20)41・019(13)40・436)
(17)澤田芽依(山梨学院大-帯三条高出)81・592((18)40・949(17)40・643)
(21)太田凪砂(信州大-帯南商高出)82・163((21)41・137(21)41・026)
(23)土田愛(イヨテツ-山梨学院大、駒大苫小牧高、屈足中出)82・614((22)41・285(23)41・329)
(27)虫狩光桜(池田高)84・251((28)42・224(26)42・027)
(29)杉浦美咲(帯七中)85・312((29)42・636(28)42・676)

(24日)
【男子】
◇1500メートル(カルテット)
世界記録 シャニー・デービス(米国)1分41秒04
日本記録 中村奨太(ロジネットジャパン)1分44秒99
大会記録 近藤太郎(駒大苫小牧高)1分48秒51
リンク記録 デニー・モリソン(カナダ)1分45秒22
(1)ウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)1分48秒23・大会新
(2)山中大地(電算)1・49・48
(3)小田卓朗(早大)1・49・50
(4)中村奨太(ロジネットジャパン)1・50・34
(5)今野陽太(開西病院)1・50・49
(6)小川拓朗(帯広連盟)1・50・97
(7)小川翔也(専大-池田高出)1・51・15
(8)大和田真(帯広連盟)1・51・21
(9)三輪準也(法大-白樺学園高出)1・51・35
(13)渡部知也(日体大-池田高出)1・52・44
(18)磯賢汰(日大-帯農高出)1・53・43
(20)松井友汰(池田高)1・53・89
(22)小原憂雅(帯南商高)1・54・25
(24)小坂龍(専大-白樺学園高出)1・54・63
(28)高田衛(白樺学園高)1・55・80
(29)池田崇将(専大-白樺学園高出)1・55・95
(30)榊原一輝(帯南商高)1・56・02

【女子】
◇1500メートル(カルテット)
世界記録 シンディー・クラッセン(カナダ)1分51秒79
日本記録 田畑真紀(ダイチ)1分54秒28
大会記録 菊池彩花(富士急)1分58秒12
リンク記録 アンニ・フリージンガー(ドイツ)1分56秒06
(1)高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)1分59秒04
(2)小平奈緒(相澤病院)1・59・92
(3)菊池彩花(富士急)2・0・68
(4)樋沙織(日本電産サンキョー)2・0・88
(5)押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)2・0・96
(8)高木美帆(日体大-帯南商高出)2・1・83
(10)藤村祥子(宝来中央歯科)2・2・66
(11)酒井寧子(高崎健大-帯南商高出)2・3・13
(12)門奈津実(ダイチ-白樺学園高出)2・3・261
(13)高橋菜那(山梨学院大-白樺学園高出)2・3・266
(16)小野寺優奈(帯南商高)2・4・05
(17)松田有幾(アルムシステム)2・4・83
(21)山田真以(日体大-帯三条高出)2・5・46
(24)原田梨央(山梨学院大-白樺学園高出)2・5・93
(26)藤村あゆみ(タカショー-日体大、白樺学園高出)2・6・16
(27)川口愛莉(日体大-帯南商高出)2・6・60
(33)澤尻磨里英(白樺学園高)2・8・77
(35)加藤梨乃(池田高)2・9・47


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