相澤、藤井２年連続全国へ 全道中学柔道
【男子５５キロ級決勝】相澤直希（下）は終了１５秒前、背負い投げで有効を奪い逆転勝ち
全道中学柔道最終日は１日、札幌市真駒内セキスイハイムアイスアリーナで個人戦の男女計１６階級を行い、十勝勢は男子５５キロ級の相澤直希（池田３年）、同９０キロ級の藤井崚将（清水３年）が制し、２２日から愛媛県松山市で開かれる全国大会への出場を決めた。全国はそれぞれ２年連続。
相澤は昨年の５０キロ級から１階級上げての全道連続制覇。藤井は２連覇。十勝勢男子の連続優勝は山本悠司（池田、６６キロ級・７３キロ級）以来４年ぶり。このほか男子６０キロ級の原祐介（池田２年）、同６６キロ級の石田大成（同３年）、女子６３キロ級の伊藤李桜（新得３年）が３位入賞を果たした。（岡部彰広）
終了間際鮮やか逆転 ５５キロ相澤
指導を取られたままで迎えた試合終了１５秒前、相澤直希は相手が奥襟を取りに来た瞬間を逃さなかった。空いた懐に飛び込むと、得意の背負い投げ。荒木昭伍（旭川永山３年）の体がバランスを崩し畳に体を預けた。これで有効を奪って攻勢を続け、鮮やかな逆転勝ちをもぎ取った。目にうっすらと涙をにじませ、「中学最後の年だったので、最後は負けたくない一心で戦った」と静かに喜んだ。
春先までの半年で身長が８センチ伸びるなど体が大きくなった今年は、１階級上げて５５キロ級で臨んだ。優勝候補として初戦を得意の背負い投げで勝つと、準決勝までの３試合を危なげなく勝ち進んだ。
決勝で戦う荒木の組み手は左。昨年の全国大会では、左組を相手に技をかけられないまま指導を取られて敗れ、苦手意識があった。大会前には荒木を想定し、全道高校トップクラスの実力を持つ兄貴志さん（帯農高３年・引退）が在籍する同校柔道部で左組の選手と練習、払い腰を左用の武器にして備えた。
先に奥襟で指導を受け、一進一退の攻防。そのまま試合が終われば負ける。石田隆治コーチから「先に行け」「攻め続けろ」の声が飛ぶ中で繰り出した得意技だった。「荒木は前に来る。そこで背負いを掛ければ入ると思っていた」と最後まで好機を狙う冷静さだった。石田コーチは「執念が勝っていた。ここ一番の気持ちの強さは兄を上回る。決められる技を持っている分、強かった」としぶとい戦いぶりを絶賛した。
今季インターハイ出場を逃した兄の貴志さんは観客席から応援。「ガンガン来る相手の隙を突いてうまいなと思った。指導を取られて気持ちに火がついたのかな」と弟の心の内を分析し、試練を乗り越えての勝利を祝った。
これで池田勢は６年連続の全国大会出場。相澤は「全国ではどんどん技を掛けてポイントを取っていきたい。まずは昨年を超えるベスト８を狙う」と目標を掲げた。
決勝苦戦も地力発揮 ９０キロ藤井
試合勘が戻り切っていなかった。昨年、左肩を負傷して苦しんでいた藤井崚将にとって、今回は公式戦復帰２大会目。それでも準決勝までの３試合は地力で圧倒し、要した時間は計５１秒、全て一本勝ちした。
しかし、決勝は苦戦した。相手は男子団体戦を制した釧路市共栄の大将・佐々木歩（３年）。「絶対勝ちたいという気持ちから、組み手で持たれるのが嫌で逃げ腰になった」。最も長引いた試合に体力も奪われた。「１分を過ぎて息が上がった。寝技にいかず休もうとしてしまった」
互いに指導を１つずつ受け、残り３０秒。相手が払い腰にきたところを返し技で「有効」。これが勝利の決め手となったが、鎌田雅之コーチは「決勝は最悪。２０、３０点の出来。体が動いていないから余裕がなく、追い詰められた」と渋い表情で振り返った。
藤井も「ポイントは自分から仕掛けたものではなかったし、（コーチからの言葉は）こたえた」と力がなかったが、不本意な結果は目標の全国制覇に向けてのいい仕切り直しになりそう。「今の自分は全国初戦負けのレベル。落ち着いて自分のペースで試合ができるよう、練習を積んでいきたい」と自らに言い聞かせるように意気込みを示した。
得意技返され悔しさ残る 男子６６キロ級・石田
○…男子６６キロ級の石田大成は、ヤマだった準決勝で林田圭登（札幌東栄３年）に、得意の大内刈りを続けて返されて敗れた。
初戦から動きが良く、優勝した長谷川黎（東海大四３年）とは相性が良かっただけに、残念な思いだけが残った。
「小学校から全国につながる大会は２位や３位ばかり。優勝なしで終わって悔しい」と顔をしかめたが、父の隆治コーチはあと一歩足りない理由を諭した後、「下がっての柔道をしなかったのは良かった。体重もまだ（階級より低い）６２キロだし、まだまだ頑張ってほしい」と期待を込めた。
相手のうまさ認め成長誓う 男子６０キロ級・原
○…男子６０キロ級は、２年生の原祐介が来年に希望を抱かせる３位の成績を残した。
準決勝で、３年生を相手にともえ投げで敗れた。「大内刈りとかがもう少しで掛かるところだったが、相手がうまかった」と素直に負けを認めつつ、「（負けを）来年に生かせるようにしたい。最後まで技を掛けられるようにする」ときっぱり。
池田は５０キロ級に出場した遠藤大志（２年）も残る。石田隆治コーチは「来年は面白くなると思う。相澤（直希）に続いてほしい」と期待を寄せた。
（関係分）
＜個人戦＞
【男子】
◇５０キロ級
▽１回戦
壬生賢吾（釧路市幣舞） 一本背負い投げ 遠藤大志（池田）
（１）西野嘉城（札幌厚別南）
（２）尾崎功弥（札幌札苗）
（３）千葉初磨（旭川永山）
（３）竹下徹（恵庭恵北）
◇５５キロ級
▽１回戦
相澤直希（池田） 背負い投げ 山本吟（苫小牧青翔）
▽準々決勝
相澤 優勢 吉田岳（美唄東）
▽準決勝
相澤 上四方固め 山本慎太郎（札幌・東海大四）
▽決勝
相澤 優勢 荒木昭伍（旭川永山）
（１）相澤直希
（２）荒木昭伍
（３）鷲見仁義（札幌新陵）
（３）山本慎太郎
◇６０キロ級
▽１回戦
原祐介（池田） 優勢 幾島拓朗（札幌厚別）
▽準々決勝
原 袖釣り込み腰 打越巧基（北斗上磯）
▽準決勝
村田頌馬（北見高栄） ともえ投げ 原
（１）中里勇斗（登別鷲別）
（２）村田頌馬
（３）岡本怜士（ニセコ）
（３）原祐介
◇６６キロ級
▽１回戦
石田大成（池田） 反則勝ち 奥豊夏（小樽長橋）
▽準々決勝
石田 横四方固め 福田卓史（枝幸歌登）
▽準決勝
林田圭登（札幌東栄） 小外刈り 石田
（１）長谷川黎（札幌・東海大四）
（２）林田圭登
（３）石田大成
（３）堀瑞貴（赤平）
◇７３キロ級
▽１回戦
森陽登（札幌新川西） 優勢 三浦陸（新得）
（１）大洞立樹（旭川永山）
（２）高田恭汰（北斗上磯）
（３）無関駿秀（稚内南）
（３）大寶克秀（釧路共栄）
◇８１キロ級
▽１回戦
芝田渉（北見光西） 大外刈り 大野隼哉（帯南町）
（１）松谷竜馬（函館本通り）
（２）越橋健介（札幌・東海大四）
（３）芝田渉
（３）葛西純坪（釧路共栄）
◇９０キロ級
▽１回戦
藤井崚将（清水） 支え釣り込み足 長縄和真（浜頓別）
▽準々決勝
藤井 けさ固め 佐藤大輔（札幌・東海大四）
▽準決勝
藤井 大外刈り 青木一真（北見南）
▽決勝
藤井 優勢 佐々木歩（釧路共栄）
（１）藤井崚将
（２）佐々木歩
（３）佐々木惇希（旭川永山）
（３）青木一真
◇９０キロ超級
▽１回戦
藤井廉太郎（島牧） 反則勝ち 佐藤雅治（広尾）
（１）加藤颯汰（標茶）
（２）木戸口詠（函館本通）
（３）藤井廉太郎
（３）本宮綾太（札幌明園）
【女子】
◇４０キロ級
（１）植田ゆき（深川）
（２）亀田采里（恵庭恵明）
（３）木村明日香（札幌琴似）
（３）濱野藍梨（長万部）
◇４４キロ級
▽１回戦
本多沙耶（帯一） 横四方固め 高橋依舞（苫小牧凌雲）
▽準々決勝
中山さつき（岩見沢光陵） 横四方固め 本多
（１）中島華衣（白糠茶路）
（２）木村知葉（札幌南が丘）
（３）笠谷美萌（上ノ国）
（３）中山さつき
◇４８キロ級
▽準々決勝
覺幸菜々子（札幌北白石） 小外刈り 竹村ふたば（帯四）
（１）覺幸菜々子
（２）長崎美紘（札幌・東海大四）
（３）江上まりん（旭川広陵）
（３）町屋琉夏（道教大付釧路）
◇５２キロ級
▽１回戦
瀬戸葉月（帯緑園） 優勢 得永琉七（浜頓別）
▽準々決勝
中田ゆうき（名寄東） けさ固め 瀬戸
（１）佐々木郁実（北広島西の里）
（２）中田ゆうき
（３）松村凜香（苫小牧青翔）
（３）井上真由（札幌稲積）
◇５７キロ級
▽準々決勝
山内春奈（札幌屯田中央） 優勢 三田千尋（清水）
（１）神田あいり（美唄東）
（２）野作伶那（旭川東鷹栖）
（３）山内春奈
（３）佐々木南（釧路共栄）
◇６３キロ級
▽準々決勝
伊藤李桜（新得） 優勢 増子秋穂（千歳勇舞）
▽準決勝
瀬川心良（札幌南が丘） 反則勝ち 伊藤
（１）瀬川心良
（２）岡茉里（札幌月寒）
（３）藤本安理（標茶）
（３）伊藤李桜
◇７０キロ級
▽準々決勝
牧野姫佳（札幌上野幌） 優勢 横田ゆづき（帯二）
（１）熊木悠花（札幌栄）
（２）北村里菜（標茶）
（３）橋本茉奈（恵庭恵み野）
（３）牧野姫佳
◇７０キロ超級
▽準々決勝
木内菜摘（栗山） 優勢 安村華琳（更別中央）
（１）伊藤咲季（北見北光）
（２）前畑鈴音（標茶）
（３）木内菜摘
（３）金澤春花（函館湯川）
◆この記事の写真はこちらから購入できます
・相澤、藤井２年連続全国へ 全道中学柔道－かちまいフォトサービス
