インフィニティー初Ｖ ばんえい記念 初挑戦人馬が栄冠
終盤に粘りの脚を発揮、ゴールに向かい猛進するインフィニティー（浅田達矢騎手）。後方は４着のニュータカラコマ（藤野俊一騎手）
ばんえい十勝は２３日、最高峰の重賞レース「農林水産大臣賞典第４６回ばんえい記念」（ＢＧ１）を行い、１０頭中単勝６番人気のインフィニティー（牡８歳、金田勇調教師、浅田達矢騎手、馬主は函館市・駒井鉄雄さん、生産者は釧路管内標茶町・坂井健一さん）が同重賞初挑戦で悲願の制覇、“現役最強馬”の座に輝いた。タイムは４分１３秒２（馬場水分２・７％）。２着に８番人気のフクドリ（セン８歳、皆川公二調教師、西謙一騎手）、３着に１月の帯広記念優勝馬で４番人気のホリセンショウ（牡９歳、岩本利春調教師、安部憲二騎手）が入った。１番人気のキタノタイショウ（牡８歳、鈴木恵介騎手）は５着、ラストランとして臨んだ１０番人気のアアモンドヤワラ（牡１０歳、赤塚健仁騎手）は９着だった。
序盤は各馬小刻みに休みを入れ、（１）キタノタイショウを先頭に第２障害へ。じっくりと力をためて（６）ホリセンショウが真っ先に挑んだ。１トンのばんえい重量に加え、やや重たい馬場条件も重なり、天板（障害上部）を登り切れずに膝を折る馬が続出。いち早く攻略した（６）に後れを取らず（７）インフィニティーが２番手、（５）フクドリが３番手で続いた。残り３０メートル地点から（７）と（５）の攻防が繰り広げられ、止まっては息を整えるマッチレースを展開。抜きつ抜かれつの中、力を振り絞った（７）が後続馬を振り切って一気に駆け抜けた。（小縣大輝）
遅咲きコンビ頂点に 厩務員の努力実る
浅田騎手（３６）はゴールして天高く指を突き上げた。人馬とも初挑戦の大舞台で、“遅咲きコンビ”が頂点の座をつかみ取った。
インフィニティーが頭角を現したのは昨年４月の重賞「ばんえい十勝オッズパーク杯」。重賞未経験ながら３着に入る活躍を見せると、同年７月の「北斗賞」では２００５年デビューの浅田騎手と共に重賞初勝利を果たし、実力馬の一角に加わった。
以降は勝ち星に恵まれず、浅田騎手も勝ち切れないレースが続いた。しかし今回の「ばんえい記念」を花道に厩務（きゅうむ）員をやめて地元横浜に戻る青木智博さんが熱心に調教、万全な状態でこの日を迎えられた。
狙い通り道中は少し無理をしつつも先行馬に遅れることなく第２障害下に着き、一度膝を折りながらも１番手とほぼ同時に障害を降りる流れを呼び込んだ。ゴール前では「馬が持つ底力を発揮できた」（浅田騎手）と振り返る。
金田調教師にとって、ばんえい記念は１０年優勝のニシキダイジン（同記念２度優勝、１２年引退）以来２勝目。インフィニティーについて金田調教師は「ダイジンより素質はあるし、力も未知数」と期待した。浅田騎手は「今後も勝ち続けたい」とコンビでの連覇を宣言した。
