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羊における代謝プロファイルテストの活用事例

(独)家畜改良センター十勝牧場 業務第二課、業務第一課

1.はじめに
 代謝プロファイルテスト(以下MPT)とは、主に乳牛で実施されている飼養管理の改善を目的とした生化学検査を主とする牛群検診である。血液生化学検査の結果を元に牛群の現状を客観的に判断し、乳量・乳質の向上、繁殖性の向上、疾病予防に役立てている。しかし、羊での活用事例の報告は少ない。そこで今回羊においても血液生化学検査の結果を元に飼養管理の改善を実施した。その結果、受胎率と子羊の日増体量(以下DG)において良好な成果が得られたので報告する。

2.方法および材料
1 )平成27年から平成29年の放牧前、交配前、妊娠中期、妊娠後期、泌乳前期、泌乳後期の年6回、サフォーク種雌羊210頭を供試し、血液生化学検査とボディコンディションスコア(以下BCS)(表1)の測定を実施した。
2 )検査項目は、TP、BUN、ALB、HT、HB、T-CHO、NEFA、GLU、BHB、GOT、γ-GTP、Ca、Mg、B/G 比、BCS とした。
3 )その結果を元に飼養管理の改善を実施した。
4 )MPT の効果を実施前後のサフォーク種雌羊100頭に対する人工授精受胎率(簡易人工授精、子宮内人工授精(以下LAPA))とサフォーク種子羊765頭の離乳期(生後3ヶ月)までのDG で比較した。

3.結果
1 )簡易人工授精は、実施前の平成26年25.0%で、実施後の平成27年15.8%、平成28年62.5%、平成29年44.4%と上昇傾向を示した(図1)。
2 )LAPA は、実施前の平成25年33.3%(平成26年未実施)で、実施後の平成27年53.3%、平成28年72.7%、平成29年30.0%と上昇傾向を示した(図1)。
3 )子羊の離乳期までのDG は、子雄羊で実施前の平成26年0.31で、実施後の平成27年0.36、平成28年0.39、平成29年0.39、子雌羊で実施前の平成26年0.25で、実施後の平成27年0.32、平成28年0.33、平成29年0.32と雄雌共に有意に向上した(図2,3)。

4.考察
1 )MPT という客観的な判断材料を活用することで、通常の飼養管理の影響を受ける繁殖性が向上した。これにより血統背景を考慮した交配と増産が可能となると考える。しかし、平成29年は前年より低下したため、
MPT の測定結果から低下の要因を推察し、今後のMPT に活かしていきたい。
2 )母羊の健康状態に影響を受ける子羊のDG が増加した。子羊の充実した発育は、その後の飼養管理における疾病やストレスの対する抵抗性を高め、飼養管理の省略化に繋がる。
3 )以上のことから、MPT は羊の飼養管理においても有効であると考える。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
(独)家畜改良センター十勝牧場 業務第一課 調査検定係長 川端 圭佑
電話(0155)44-2131  FAX(0155)44-2215
E-mail:k0kawabt@nlbc.go.jp

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