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創業56年「柏林湯」 まちマイ西陵編

◆タイムスリップ
 昔と変わらぬ姿で利用客を出迎える柏林湯。「気持ち良かった」の言葉が出田さんの力になる

昭和薫る 最後の銭湯 
 まるで昭和にタイムスリップしたよう-。昔ながらの銭湯の雰囲気で住民に愛される帯広市内の柏林湯(はくりんゆ、柏林台南町7)。地下からくみ上げる温泉が主流となる中、沸かし湯の銭湯は今となっては十勝で唯一。出田盛雄(いずた・もりお)さん(93)が毎日1人で切り盛りし、常連客らを出迎えている。

 のれんをくぐるとすぐ男女別の入り口に分かれ、中の脱衣所は大きな鏡でスペースが仕切られている。脱衣所には昔ながらの竹編みの籠や体重計、ドライヤー、扇風機、映画ポスターなど、懐かしいアイテムでいっぱいだ。

柏林台地区の閑静な住宅街に「柏林湯」がある

 1962年オープンの創業56年。住宅が増え始めた当時の柏林台地区には銭湯がなかったため、地域の要望を受けて出田さんが開業を決心した。昭和40年代には、脱衣籠が足りず順番待ちで店の外にも列ができるほどにぎわった。

 最盛期から利用客が減る中でも、妻の故羨子(のぶこ)さんと二人三脚で切り盛りしてきた。羨子さんが2007年に73歳で亡くなった後も、出田さんは1人で番台に座り、お客さんを迎えている。

 銭湯をやめようと思った時期も何度かあったが、そのたびに利用客から継続を熱望されたり応援の声をもらったりして続けている。「1人でも入りに来てくれて、『気持ち良かった』と言ってもらえたらそれが続けていられる原動力になる」と感慨深げに話す。

 柏林湯に17年以上通っている市内の中村光伸さん(52)は「お湯が豊富でゆっくりできる。昔、祖母が銭湯をしていて、懐かしさも感じる」と話した。

 柏林湯は午後4時から同9時まで、月曜休館。未就学児70円、小学生140円、中学生以上440円。(電話)0155・34・2378(文・藤島諒司、写真・新井拓海)

ボイラーに廃材を投げ入れ湯を沸かす。建物の裏には運び込まれた廃材が積み重ねられている

◆93歳 フル回転
 出田さんが沸かした湯が利用客の疲れを癒やす。現在は1人で清掃や番台役などをする

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