「北海道ツーリズム大学」再開校に向けフォーラム 鹿追
【鹿追】観光産業の担い手を育成する「北海道ツーリズム大学」(NPO法人北海道ツーリズム協会主催)の15年ぶり再開へ向けたプレ開校フォーラムが18、19の両日、町内のウリマックホールなどで開かれた。シンポジウムや町内視察を通して、グリーンツーリズム実践者や開業を目指す若者らと「住んで良し・訪れて良し」の観光地域づくりを考えた。
2年後の東京五輪を控え、農村へ観光客を誘致する「農泊」事業などを国が推進していることから、地域全体に経済効果が波及できる十勝・鹿追らしいグリーンツーリズムの在り方を追究し、若い世代を育成しながら発展につなげていこうと、同協会が5月25日からの再開を目指し準備を進めている。2000年に始まった同大学は鹿追などで3年間開かれ、延べ640人が参加。九州に続く全国2例目の取り組みとして当時注目を集めた。
シンポジウムには、町内外から約30人が参加。中野一成前学長(大草原の小さな家)は「十数年がたち、時代が変わった中で再スタートが切れるのは素晴らしい」とあいさつし、吉田弘志町長が「人口減が進む中、今後は住民自らの手で地域づくりを実践することが重要だ」と述べた。
同協会の武田耕次理事長は、鹿追町のグリーンツーリズムの歴史を紹介。村瀬梓さん(村瀬ファーム)や藤田磨美さん(藤田牧場)、神田縁さん(トマルカフェ鹿追)ら4人が登壇したパネルディスカッションでは「農家民泊で滞在しながら熱気球を楽しむ外国人もいる。農業やアウトドア体験、飲食を組み合わせた商品を作りたい」などと意見が飛び交った。
東京農工大学院の福井隆客員教授は講演で、全体の集客マネジメントをDMO(観光地づくり法人)が主導した成功事例として、和歌山県の田辺市熊野ツーリズムビューローを挙げた。
外国人目線で「熊野=巡礼の道」に焦点を絞った全体事業を説明し「コンセプトを体感でき『情景』が生まれる仕掛けが必要。わざわざ来てもらう理由をつくり、個ではなく地域事業としてマネジメントするべきだ」と強調した。
NPO法人アースキューブジャパン(岡山県)の中村功芳代表理事は「心の豊かさが旅の動機。地元の食事や生活体験など、時間を楽しむことができる鹿追をつくってほしい」などと呼び掛けた。
参加者は夕食交流会などでネットワークを広げ、19日は町内で冬の観光資源などを視察した。(小寺泰介)