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基肥も追肥も対応!生育情報を利用した可変施肥で収量向上

十勝農業試験場 研究部 生産システムグループ

1.背景と目的
 生育センサを利用した可変施肥技術は、圃場の中の土壌や生育のばらつきに対応して施肥量を自動で調整し、収量や品質を安定化させる(平成24年普及推進事項)。この技術を更に発展させ、秋まき小麦の追肥時等の生育履歴情報を活用することにより、他の作物の基肥や追肥にも適応できる技術を開発し、てんさいやばれいしょに対する効果を実証した。

2.試験方法
1)生育の履歴情報を利用した施肥マップ作成ソフトウェアと施肥システムの開発
   小麦の可変追肥時等に生育センサにより取得された生育情報から地力ムラを推定し、施肥マップを作成するソフトウェアと施肥マップどおりに肥料をまくシステムを開発する。
2)可変施肥の実証試験
   開発した可変施肥システムを使って現地圃場で実証試験を行い、てんさいやばれいしょの増収効果を明らかにする。

3.成果の概要
1 )圃場内地点における生育状態を表す生育センサの値(S1値)は圃場内平均値を1とした相対値に変換することで、異なる作物においても生育良否を同じ値で評価することができ、同じ圃場の前作と後作の関係はほぼ1対1の関係にあった。また、1対1の直線から大きく外れる点や値が小さい点は施肥による生育改善が困難な箇所として抽出できる(図1)。
2 )圃場内の生育差は施肥による生育改善が困難と推察される箇所を除くと、土壌の熱水抽出性窒素の差と相関が高く(図2)、この関係と北海道施肥ガイドに示される熱水抽出性窒素診断による窒素施肥量、および施肥標準を利用して施肥マップを作成することができる。
3 )上記1)、2)の原理を利用し、生育センサにより取得された生育データから基肥に活用できる施肥マップを作成するソフトウェアを開発した。作成した施肥マップはUSBメモリを介してトラクタ設置の端末で読み込み、マップベースの可変施肥を実行することができる(表1)。
4 )てんさい基肥・分施および追肥の可変施肥実証試験の結果、可変施肥をした区の糖量は7事例中6事例で定量区より大きく、増収効果は平均で5.9%であった(表2)。
5 )生食、加工用ばれいしょに対する可変追肥の効果は判然としなかったが、でん粉原料用の「コナフブキ」では、窒素追肥量を定量施肥より1.5~2.0kg/10a減らしたがでん粉収量は平均3.2%増加した(表2)。
6 )新たに開発したマップベース可変施肥機能により、小麦追肥以外にてんさい基肥やでん粉原料用ばれいしょの追肥での活用が可能となり、生育センサによる可変施肥システムの適用場面を拡大することができる。

4.成果の活用面と留意点
1 )本技術は圃場内の生育ムラが窒素栄養条件の差に起因する場合に活用でき、センシング後、部分的な堆肥施用や客土などを実施していない圃場で活用する。
2)本技術は現在実施している輪作体系、施肥体系(時期、量)に応じて活用する。
3)施肥マップ作成ソフトウェアは特許出願中で2017年より市販予定である。






詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研十勝農業試験場
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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