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テンサイ褐斑病の薬剤を中心とした効果的防除法

北見農業試験場 研究部 生産環境グループ、地域技術グループ

1.背景と目的
 テンサイ褐斑病の防除対策として、平成8年に、発病株率50%到達時に薬剤散布を開始する「モニタリングによる効率的防除」が開発され、指導されてきた。しかし、発病を十分に抑え切れていない場合があり、効果的な防除対策が求められている。本試験ではテンサイ褐斑病の被害拡大を抑えるため褐斑病抵抗性が異なる品種を供試した場内試験および現地実態調査を行い、これに替わる防除対策を取りまとめた。

2.試験方法
1)品種の抵抗性程度に対応した防除開始時期の検討
   接種条件下で、抵抗性の異なる品種と散布開始時期(初発前、初発直後、発病株率50%到達時)を組み合わせて防除効果を比較。
2)防除薬剤の残効期間
  接種条件下で、殺菌剤(2~3薬剤)を1回のみ散布して残効期間を調査。
3)現地の実態調査
  オホーツク管内計59圃場の発病、防除歴を調査。

3.成果の概要
1 )発病と糖量との関係を解析し、初発期別の減収率ごとの被害許容水準(9月30日の発病指数)を算出した。また、発病が直線的に進展すると仮定した場合の初発期別の発病経過のシミュレーションは、各時期の防除が適正に行われているかどうかの指標となる(図1)。初発が早いほど被害許容水準が低い。
2 )接種による甚発生条件下では、品種の抵抗性にかかわらず、散布開始を発病株率50%到達時とすると発病度が被害許容水準を超えた。これに対し、初発前、初発直後の散布開始では、発病の進展が発病株率50%到達時より2週間以上遅延し、“強”品種では、発病度が概ね被害許容水準以下となった(表1)。8月下旬で散布を終了した場合、その後の発病が急激に進展した。さらに、品種の抵抗性が強いほど初発(表1)および発病の進展が遅かった。
3 )薬剤の残効期間は年次によって異なったが、既往の研究より短く、接種条件下、初発直後散布の平均的な残効期間は、品種の抵抗性にかかわらずマンゼブ水和剤とDMI剤が7~9日、カスガマイシン・銅水和剤が5~6日であった(表2)。ただし、残効期間は、降雨や気温等の気象条件によって変わることがある。
4 )現地での散布開始は、初発前の6月下旬~7月上・中旬がほとんどであった。また、散布間隔が14日以下の圃場、9月まで散布した圃場は、大部分が少発生であった(データ省略)。
5 )以上の場内試験および現地実態調査の結果から、テンサイ褐斑病の新しい防除対策を表3にまとめた。本試験は多発年の条件に近い接種条件下で実施したこと、また、現地の実態調査で散布間隔14日以下の圃場の大部分が少発生であったことから、実用性を考慮し通常の条件下での散布間隔を14日以下とした。

4.成果の活用面と留意点
1)てんさいの褐斑病防除対策として活用する。
2)北見農試場内試験は、褐斑病菌接種の条件下で行った。





【用語解説】
 被害許容水準:病害虫によって受ける被害の額が、防除の経費を上回らない病害虫の発生量。

詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研十勝農業試験場
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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