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エキノコックス対策に効果 鹿追でキツネ用駆虫剤散布

鹿追町内で散布したキツネ用のエキノコックス駆虫剤入り餌(環境動物フォーラム提供)

虫卵 町内で確認されず
 【鹿追】町は今年度、管内自治体では初めて、キツネ用駆虫剤入りの餌の散布によるエキノコックス駆除対策に取り組んだ。対策の効果を検証する調査では、人への感染源となる虫卵が町内で確認されなくなったことが明らかになり、町は「町内全域での散布が効果を挙げた」(町民課)としている。

 調査は駆虫剤の散布前(5月)と散布中(10月)の2回に分けて実施。キツネのふんを採取して寄生の有無を分析、5月は88検体中32検体(36%)が抗原陽性で、うち15検体(17%)から虫卵が確認された。これに対し、散布してからの抗原陽性は87検体中8検体(9%)のみで、虫卵は確認されなかった。

 町によると、捕獲駆除だけでは対策が追いつかない他、道内各地で一部観光客による餌付けが問題視されており、キツネに駆虫剤を捕食させて寄生率を下げ、住民や観光客の安全安心を確保することにした。

 民間団体「環境動物フォーラム」(札幌)が協力し、町民課職員が6月28日~11月末に毎月1回、農村部中心に町内全域(本町・瓜幕・笹川・上幌内・東瓜幕の市街地区と然別湖畔除く)を車で回り、計1万2000個の駆虫剤入りカマボコをまいた。事業費は約100万円、駆虫剤はイヌやネコが食べても無害という。

 同駆除は環境動物フォーラムや道立衛生研究所(札幌)が指導しており、後志管内の倶知安町、ニセコ町、留寿都村など羊蹄山麓8町村、オホーツク管内小清水町、根室市や上川管内東川町で行っており、今年度から鹿追とオホーツク管内大空町でも始まった。各動物園や植物園、大学敷地内でも実施、管内ではおびひろ動物園が導入している。

 環境動物フォーラムは「キツネの行動範囲は広く、外からも入って来るため駆虫剤をまき続ける必要がある」と指摘。町は来年度も事業を継続する考えで、「捕獲駆除と並行し、観光・農業への風評被害も防ぎたい」としている。(小寺泰介)

<エキノコックス>
 サナダムシの一種の寄生虫。幼虫を宿した野ネズミを食べたキツネやイヌの腸で成虫に育ち、卵がふんと一緒に排出される。卵が人などの口から体内に入り寄生するとエキノコックス症になり、数年から十数年の潜伏期間を経て重い肝障害を起こす。人から人へは感染しない。道内では毎年約20人が感染している。

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