復興へ一歩ずつ 互助の姿勢 十勝に広がる
台風10号が十勝を直撃して、10日が過ぎた。氾濫して住宅をのみ込んだ河川や大きく陥没・崩壊した道路、流失した橋、出来秋を目前に河原のようになった農地…。未曽有の台風災害で穏やかな暮らしが一変。死者・行方不明者4人、全半壊や床上・床下浸水など被害家屋319棟、最大避難者数は9247人にも上った(十勝毎日新聞社調べ)。
避難所暮らしを余儀なくされたり、長引く断水で風呂やトイレにも苦労したりするなど、さまざまな場面で不便を強いられる住民の姿もあった。そのような中で、橋や堤防が修復され陸路も徐々に復旧、ライフラインの回復で通常の生活に戻る人たちも出てきた。十勝全体の「復興」は道半ばという状況の下、今回の台風の被害状況と被災地の今の姿を紹介する。

※浸水エリアは各町役場のまとめによる
<台風被災に負けない十勝の決意>
希望は見えてくる
清野エミさん(52)=帯広市、理容業
今も被災地でつらい日々を過ごす人がいると思うと心が苦しい。この状況を乗り越えれば希望は見えてくるはず。頑張って。
音更川堤防の復旧を
竹市友彦(38)=士幌町、建設業
台風で浸食された音更川の築堤工事をしています。厳しい状況が続いていますが、復興に向けてお互いに頑張っていきましょう。
7日、店を再開できた
桜井博義さん(65)=幕別町、お食事処こんぴら店主
周囲が浸水しましたが、7日に再開し、元通り頑張っています。休店中もお見舞いの電話や心配して来店いただき、ありがとうございました。
町内会の対策まとめる
高橋信男さん(70)=音更町、会社役員
浸水被害に遭った木野大通東8の8区町内会長を務めています。今後の対策などの意向をとりまとめ、会として町に要望したい。
寄付で役に立ちたい
大橋辰雄さん(64)=帯広市、無職
北海道は台風と無縁だと思っていましたが、今回その怖さを身に染みて感じました。義援金の寄付を通じてお役に立ちたいです。
助け合って生活
玉澤恒憲さん(67)=新得町、無職
近所は80代の高齢者が多く、給水するにも助け合って生活しています。生まれ育ったまちの元通りの姿を一日も早く取り戻したい。
日頃の備え話し合った
西尾千恵美さん(53)=芽室町、主婦
これまで台風は人ごとのように感じていました。初めて避難を経験し、家族でも日頃の備えについて話し合いました。
避難所にお世話に
鳥海梅子さん(68)=清水町、主婦
住宅は基礎に被害がありました。被災してからストレスで具合が悪くなり通院。申し訳ないが、避難所にはまだお世話になると思います。
ボランティアに力入れる
河原崎絹子さん(61)=清水町、主婦
電気が2日間通らず、橋が遮断され一時孤立しましたが、家を流された友人に比べれば何でもない。今後はボランティアに力を入れたい。
早くいつもの生活に
赤神貴美子さん(41)=帯広市、会社員
これほど大きな災害が身近で発生したことに驚きました。被災された方々が早くいつもの生活に戻れるように祈っています。
友達がいて楽しい
鴨田萌花さん(10)=新得町、屈足南小4年
2日に学校が再開し、最初はまた雨が降るかと不安でした。今は友達がいて楽しいです。元の生活に戻っても水を大切にしたい。
元通りまで時間かかる
伊藤雅史さん(34)=清水町、町商工会職員
家は床下が一部浸水し、家族は別の場所に避難しています。各店は復旧に前向きだが、元通りになるには時間がかかるかもしれません。
「おたすけ隊」組織
丹野寛さん(63)=芽室町、緑町西町内会会長
町内会のメンバーで独居高齢者への声掛けなどを行う「おたすけ隊」を組織しています。よりきめ細かい体制づくりをしていきたいと思います。
企業をサポートする
笠松祥彦さん(21)=大樹町、商工会職員
断水で町内の飲食店は全て休業し、自然には逆らえないと感じた。仕事を通してできる限り企業のサポートをしていきたい。
「天空カフェ」中止悔しい
川合拓男さん(40)=芽室町、農業
台風で水に漬かったジャガイモがとても心配です。実行委員長として携わっていた「とかち天空カフェinめむろ」も中止になり、非常に悔しいです。
店開けて町元気に
坂口浩司さん(44)=新得町、鳥せい新得店長
断水中でも持ち帰りのみで営業を続けています。店を開け続けることで町が元気になれば。生活の息抜きを“食”で応援したい。