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牛玉丼育てた町の顔 清水ドライブイン社長 野崎さん死去

牛玉丼を手に笑顔を見せていた野崎さん(11月15日、塩原真撮影)

仕事一筋、生粋の商売人
 【清水】1日に不慮の事故で62歳で死去した、清水ドライブインを運営する山下観光(町清水)社長の野崎勝敏さん。人並み外れたバイタリティーで、町の新・ご当地グルメ「十勝清水牛玉ステーキ丼(牛玉丼)」地域活性化協議会の会長や町観光協会副会長など要職も務め、日勝峠の店舗とともに“十勝の西の玄関口”として町全体の発展にも尽力した。地元関係者からは、突然の訃報に早すぎる死を惜しむ声が上がっている。

 1954年、足寄町生まれ。足寄高校卒。73年に山下観光に入社し、2001年3月から社長。北海道中小企業家同友会とかち支部清水地区会の会長も務め、同社は音更町十勝川温泉で富士ホテルも経営する。強い行動力があり、「いつも忙しい人だった」と周囲は語る。おごらず謙虚な、生粋の商売人の周りには、いつも人の輪が絶えなかった。

 道東方面のバス会社へ、毎年1回欠かさないあいさつ回りに出掛ける途中に起きた交通事故。本州出張前の合間を見つけ、数日前に急きょ決めた日程だった。清水ドライブインの古村一成支配人(52)は「人と会うためには、外へ出掛ける労力を惜しまない人だった」と語る。

 古村さんは、店舗が営業を始めた1985年から30年以上にわたって、苦楽を共にした。創業当初が最も忙しく、昼夜を通して働き、「2人でうたた寝しながら、日勝峠で星を眺める夜中のバスツアーも迎えていた」と振り返る。

 「あの年だけはよく頑張ったね」と1度だけかけてくれた言葉が忘れられず、段ボールを敷いて仮眠を取る姿は今でも目に焼き付いている。「仕事一筋に生きた人」という野崎さんには4人の子どもがいたが、「上の3人は忙しくて、相手ができなかったんだろうね」。年が離れた四男をかわいがっていたという。

 近年は清水のまちおこしにも尽力した。道東自動車道の夕張-十勝清水インターチェンジ開通に合わせ、町民一丸となって開発した牛玉丼推進役を担う会長を任され、清水町の“顔”となってPRを買って出た。牛玉丼は新・ご当地グルメグランプリ3連覇達成。同地域活性化協議会の吉田寛臣事務局長は「町の未来を一緒に考えることができた時間は充実していた」と振り返る。

 今夏の台風10号の大雨災害にも屈しなかった。発電機を調達し、災害の翌日に通信販売から再開した。清水ドライブインの前道弘幸料理長(54)は「災害に遭ってもなお『町を元気に』という思いで店を開け続けていた。社長を慕う多くの人も訪れた。狭い厨房を新しい世界に広げてくれた」と話す。

 町観光も先頭に立ってリードした。町観光協会は今年、十勝千年の森やJR十勝清水駅に隣接するハーモニープラザに物産販売所を設置し、将来的な道の駅設置も視野に入れる。平尾勝徳会長は「清水町にとって大きな痛手。もう少し頑張ってほしかった」と悼んだ。高薄渡町長も「情熱を持ち、町の発展に尽くしてくれた。惜しい人を亡くした」と沈痛な面持ちだった。(小寺泰介)


◆清水ドライブイン「十勝亭」について
営業時間ほか各種情報-清水ドライブイン公式ホームページ

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