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JAXAが大樹航空宇宙実験場でエンジン試験

実験機をつり下げ、ゆっくりと上昇する大気球(1日午前4時50分ごろ、塩原真撮影)

 【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日午前、大樹航空宇宙実験場(町多目的航空公園内)でジェットエンジン試験を目的に大気球を打ち上げた。今年度第2次実験の3基目。高度40キロ弱から実験機を落とし、超音速(マッハ2)状態で搭載エンジンを燃焼させ、性能などを確かめた。成功すれば、超音速の環境を生かした技術試験へ弾みが付き、再使用型宇宙往還機・スペースプレーンの実現に向け、一歩進みそうだ。

 JAXAは2005年の長期ビジョンで極超音速機技術の研究開発を掲げ、25年をめどに、日米間を約2時間で横断できるマッハ5クラスの技術の確立を目指している。今回の実験は超音速までのエンジン技術を確認する狙い。さらに、超音速の環境を生み出せる大気球を利用した実験システムを構築し、スペースプレーン実現に必要な主要技術を実証していく計画だ。

 実験グループはJAXA宇宙科学研究所の澤井秀次郎准教授ら約20人。大樹では08年から活動を始め、上空での試験は今回が初めて。

 エンジンは予冷ターボジェットエンジンと呼ばれ、燃料は氷点下250度近くまで冷えた液体水素。超音速飛行の場合、通常のエンジンでは吸引した空気の熱に耐えられないが、同エンジンは燃料で熱を冷却させる。実験機は全長4・6メートル、重量650キロ。この日は午前4時48分に打ち上げ、同8時4分に十勝沖に着水した。詳細は後日、分析する。

 スペースプレーンの実現に向けた大気球利用の可能性について、澤井准教授は「大気球は宇宙の近い所まで上昇できるハイテクの飛翔体。上空から切り離せば、超音速のスピードを付けることもできる」と評価、将来的には誘導制御の実験などが考えられるという。(佐藤圭史)

 <スペースプレーン>
JAXAが想定する2段式は、大型高速ジェット機が宇宙機を載せて飛行機のように離陸した後、高度2万メートルで宇宙機が大気圏を脱出、ジェット機は地上に戻る。再利用可能なことから、従来のロケットに比べてコストが安い。

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